「セックス」がなにをすることかも知らなかった僕が、日本で言うと、中学2年から3年になるときのこと。

それまで住んでいたヨーロッパのある国から遠く離れたこの日本の街に、母の仕事の都合で引っ越すことになった。
遠く離れた街で、それまでの友達とももうほとんど会えなくなってしまうだろう。
別世界のように感じられる引越しだったけれど、それでも僕は楽しみだった。

生まれ故郷であり、僕の祖国である、日本に帰れること以外にも、理由がある。
その街には、僕の幼なじみの真奈美ちゃんが、そこには暮らしているのだ。

真奈美ちゃんは、日本では僕よりひとつ学年が下で、彼女のお父さんは僕の母の上司だった。
僕は父親を、真奈美ちゃんは母親を早くに亡くしていたこともあり、まるで家族のような付き合いをしていた。
2年前、真奈美ちゃんが引っ越していった同じ街に、母親が転勤になったのは、僕にとっては最高にうれしいことだった。

かわいくて、活発な真奈美ちゃんは、どちらかといえば外国で萎縮していた僕を引っ張ってくれる、お姉さん的存在だった。
そう。日本では僕の方が年上になるが、むこうでは同じ学年になる。
そんな真奈美ちゃんは「日本で言えば」僕の妹的存在ともいえたけれど、実際には、お姉さん的な存在だった。
ただでさえ胸を躍らせて日本に帰ってきた僕をそれよりも、まず驚かせたのは、その引越し先だった。

「あっ、きたきた、なお、こっちだよー」
懐かしい真奈美ちゃんの声に僕の胸は高鳴る。
「ひさしぶり、真奈美ちゃん」
「あれ、まだもとのなおのままなんだ」
「えっ?僕結構大きくなったと思うけど」
「ん、いいのいいの。さ、こっちこっち」
僕の手を引っ張って新しい家の入り口に走る真奈美ちゃん。
緊張するかなと思っていたけれど、本当にうれしそうに僕に話しかけてくれる真奈美ちゃんに感動せずにはいられなかった。

僕の家のすぐ近くに真奈美ちゃんもすんでるのかな?と思ったが、通されたのは真奈美ちゃんの名字の表札にかかった家だった。
「もう、荷物はついてるから。あとでかたづけよう」
「えっ? だって、ここは・・・」
「なぁに? それも知らないの?」

僕は、なんとなく理解した。母もそれっぽいことを匂わせてはいた。
でも、真奈美ちゃんのお父さんと、僕の母から「大事な話がある」と言われて呼び出され、聞かされた話はそれよりもずっと衝撃的な内容だった。
「なお、あなたはね、治らない病気で、治すには・・・おちんちんをとって、女の子になるしかないのよ・・・」

それぞれの親が結婚して、新しい家庭を作ると告げられたあと、お母さんが僕にこう言ったのだった。
そういえば、僕が向こうで、急に倒れて入院したとき、病名も告げられないまま退院した・・・
「そんな・・・」
大好きな真奈美ちゃんと再会して、正直言って、僕なりに男としてときめきを感じていたところに、
僕が男ではいられない、という衝撃的な通告だった。

でも、19歳の時に僕を生んで、女手ひとつでここまで育ててくれた、お母さんを悲しませるわけにはいかない。
お母さんが、こんなに泣きながら僕が女の子になることをつげている。
それを見た僕は、ボウゼンとはしたが、結局こうお母さんに言ってしまうのだった。

「おかあさん、泣かないで。僕は女の子になっても、お母さんの子供だよ。ずっとお母さんの子供なんだよ。
どこにも行かないんだから、泣かないで・・・」

事実だけを言うとすると、こんな感じだけれど、僕は当然なにがなんだか分からなかった。
新しい家、新しい家庭に引っ越して、落ち着く間もないまま、僕は京都の病院に連れて行かれて、
女の子になるための治療を受けることになった。

僕は、真奈美ちゃんのお母さんと一緒に向こうで事故で亡くなった、
僕の名前の半分と同じ読み方の名前の「奈央」という、真奈美ちゃんの妹として生まれ変わることになった。
よく見ると、僕が日本に入国したときのパスポートは、すでに「奈央」のものに変わっていた。

病院で麻酔をかけられて、何日眠ったか・・・僕が次に起きたとき、当然僕は女の子になっていた。
「おはよう、なお」
真奈美ちゃんが・・・これからは僕のおねえちゃんになる真奈美ちゃんが・・・微笑みかけてきた。

「女の子になった、気分はどう?」
「うん・・・へんなかんじ・・・」
声変わり途中だった僕の声が女の子のそれに変わっている。なんて、かわいらしい声なんだろう。

女の子用のパジャマで何日か入院し、僕が退院した日は、もう中学の入学式の前の日だった。
そう、「奈央」となった僕は、実際の年齢よりも二つ下の、中学一年生になる。
「奈央ちゃんも、はやく女の子としての生活に、日本の中学校になれるといいね」

新しい家に帰ってきた夜、退院祝いと入学祝いと、新しく家族となった僕たちのささやかなお祝いを家でしたとき、
真奈美ちゃんのお父さん・・・つまり僕の新しいお父さんが、僕にこういった。
僕は早くも、自分が女の子になったことを実感した。
「は、はい」

僕は、顔を真っ赤にして、僕の新しいお父さんにこう答えた。
胸が、きゅん、となった。お父さん、って、かっこいい。いや、かっこいいのは知ってたけど、やっぱり、かっこいい・・・

お父さんはお母さんよりも二つ年上の36歳。でも、すこしもオヤジくさくなくて、とにかくかっこいい。
お父さんとはいえ、何の血のつながりもない、僕は、一瞬にしてお父さんに心を奪われてしまったのだ。
とはいえ、それは切ないあこがれ。
お母さんの旦那さんになった人に、僕は一体なにを考えているんだろう、そう思いなおした。

真奈美ちゃんとは、そのあと、女の子としてのいろんなことを教わった。
スカートのはき方も知らない僕だったけれど、明日には女の子として、中学校に行かなければいかないのだ。

次の一日は、僕にとって、苦痛に満ちたものとなった。
突然の、女の子としての生活。セーラー服に身を包んで、公立の中学校へ。
なんだか下がスースーして変な感じ。
女子の列に並ぶのだって、女子トイレに入るのだって、緊張のしっぱなしだ。
間違えて、男として行動してしまったら、どんなことを言われるかわからない。

誰も、僕が男だったことなんか知らないはずなのに、ただの変態だと思われているんじゃないか、っていう恐怖感。
しかも周りはみんな3つの小学校からの持ち上がり。
教室でも早速、同じ小学校だったどうしで派閥を作って、僕は一人ぼっち。

僕は、男のほうが話しかけやすいけど、そんなことしたら女の子たちがどんな目で見るだろう。
かわいい子がいる、とばかりに僕の方を男たちはみんな見ている。
男は、かわいい女の子を見つけると、目が離せない。知っている。
そして、僕は、人工的に作られた女の子。かわいいに決まっている。それも、半端じゃなく。

セックスがどんなものかも知らなかった僕でも、それがいやらしい目つきと紙一重なことくらい知っている。
いや、いやらしい目つきでみていた男もいるだろう。
僕の、おっぱい触りたいとか、僕と、セックスしたいとか、思ってる奴もきっといる。
それが、少し潔癖症気味の僕には、男として分かるだけに耐えられなかった。

女の子とも話したけれど、自分が本当は女の子じゃないことを悟られるのが怖くて、あまり話せなかった。
ヨーロッパの話とか、聞かせてほしいって、言われたけれど、「また、今度」って言って、逃げるように帰ってきた。

「うっ、うっ。女の子なんか、ならなきゃよかった・・・」
僕は、誰にも悟られないように、自分の部屋の片隅で泣いた。
お母さんがそう願ったから、すぐに女の子になることを受け入れた。
でも、早くもそのことを後悔してしまった。

僕は、やっぱり、男だったんだ。突然、女の子にされて、いったい、どうすればいいのだろう。
死んでもいいから、男のままでいるんだった。でも、そうするとお母さんがかわいそう・・・
結論の出ないループを頭の中で繰り返しながら泣く僕。
この部屋だって、女の子用の部屋を作られて、ベッドの布団もピンクだし、
クローゼットには女の子のかわいらしい、まだ来たことのない服が、下着がたくさん詰まっている。

こんな、自分が男だったことを否定するような部屋には居たくなかった。
でも、ここしか、泣くところがない。
僕は、着ていたセーラー服に嫌悪を感じて脱ぎ捨て、はじめてつけた女の子の下着も全部脱ぎ捨て、部屋の片隅で泣き続けた。

「なお〜、どうだった、学校」
僕の部屋に真奈美ちゃんが入ってきた。
僕は、泣きはらした顔を見られまいと、部屋の隅で、ハダカのままで、うずくまった。
もちろん、僕が泣いていることに気づかないはずもなかった。
「なお・・・どうしたの? そのかっこ・・・それに・・・」

「なんでもない」と10回くらい言ったあと、僕は、真奈美ちゃんに今日あったこと、つらかったことを全て打ち明けた。
「よく、我慢したね。それに、こんなところで、一人で・・・あたしにも涙をみせたくなかったって、やっぱり男の子だね」
とつぜん、自分が男だったことを肯定されて、僕は悪い気はしなかった。
そして、同年代では僕の秘密を知る唯一の人であり、
新しく僕の姉ともなった真奈美ちゃんに優しくされて、うれしかった。

「真奈美ちゃん・・・」
「でも、奈央は女の子になったんだから・・・女の子だって、いいことたくさんあるんだよ」
真奈美ちゃんはそう言って、僕のことを優しく抱きしめた。
「ほんとに?」
「ほんとだよ。お姉ちゃんが教えてあげる! 女の子のこと!」
ベッド上で、タオルケットを羽織って、涙をにわかに止めた僕の、股間に、真奈美ちゃんの手が、伸びてきた。

「えっ、なに、ヘンタイ!」
僕は、そう叫んで、ハダカで座ったまま、後ずさりした。
「あれ、どうしたの、お姉ちゃんが女の子のこと教えてあげるっていったのに。
奈央は女の子のアソコがどうなってるのかも知らないんでしょ?
他の女子はもう、みんな知ってるよ。ほら、足をひろげて!」

なんともいえない真奈美ちゃんの言葉の説得力。
本当に、お姉ちゃんとなった真奈美ちゃんに僕は逆らえなかった。
「う、うん・・・」

そういうと、真奈美ちゃんは、僕にキスしてきた。もちろん、口に。
真奈美ちゃんのやわらかい唇が、生まれたばかりの僕の、女の子の唇と交わる。すごくビックリした。
どきどきが一気にヒートアップした。なんて・・・甘い・・・言葉に出来ない感動と満足感が僕の心を支配した。
すぐに、嫉妬の炎が燃え上がった。こんなこと・・・他の人ともしてるの? 真奈美ちゃん?

男と?
そんな・・・
直感的なショックが感動のすぐに激しい勢いで襲ってきた。

「ふふ、きもちよかった?」
僕は、とにかく、首を縦に振って、その感動を態度であらわした。
「あはは。そうだった・・・ここはね・・・」

真奈美ちゃんは、僕の足を広げて、尿道や、肛門をさし示す。
そんなことはわかっていることだった。だって、もう、トイレにはいったこともあるから。
「そして、ここが・・・」
そういうと、僕の肛門と尿道の間に、優しく触れる・・・

「あっ・・・」
僕の口から、女の子としてはじめての喘ぎ声が漏れる。
弱いところ、なにか、敏感なところを触れられて、なんか不思議な感覚を覚えた。
「あれ、どうしたの、ここがなんだか知ってるの?」
真奈美ちゃんの一言で、ぼくは、真奈美ちゃんが触ったところが何なのかを察する。
それが、なんと言うのかは知らないけれど、女の人が「セックス」のときに使うところなんだ・・・きっと・・・

「真奈美ちゃん・・・やめて・・・」
「え? でも、女の子の体のこと、わかった?」
「もう、わかった・・・から。あっ・・・」
さっき敏感なところに触れた真奈美ちゃんの中指が上の方向にすべる。
真奈美ちゃんが、こんなことするなんて・・・ショックだった。
でも、同時に、言いようもない興奮を覚え始めているのも事実だったかもしれない。

「ふうん。じゃあ、ここはなんていうの?」
真奈美ちゃんは、再び泣きだしそうな僕の耳元でそうささやく。
そういわれても、僕は本当に知らない。
日本から離れてずいぶん経つし、いや、日本語じゃなくても、知らないけれど・・・

「ねぇ、こたえなさいよ。知ってるの? 知らないの? 気持ちいいでしょ?」
気持ちいい?これが?
少なくとも、気持ちいい、というのとは違う。痛い、というか、かゆい、というか・・・体が、熱くなってくる・・・
「知らない・・・やめ・・・て・・・」

「本当に知らないの? あきれた。マジでガキのままだったんだね。
女の子になってよかったじゃん。こんなにかわいいし、すぐに大人になれるよ」
「あぁん!」
真奈美ちゃんが、僕の敏感なところを、いじくる。さっきの、撫でる、という感覚よりももっと強い。
強く指を押し付けて、くちゅっ、と音がしたような気がした。
そして、僕の中ではさっきの嫉妬の炎も燃え続ける。すぐ大人になれる?どういうこと?
真奈美ちゃんは、もう、大人なの?

「あれ? なんていうのかは知らなくても、濡れちゃった。あはは」
そういうと、粘っこい何かがついた指を僕の目の前に持ってくる。
「ほら、ねばねば。これ、なおのアソコから出たんだよ」
中指と親指で、糸を引く様を目の前で見せ付けられて、僕は目をそむけた。
「ちゃんとみなさいよぉ」
真奈美ちゃんに、お姉ちゃんにそういわれると、目を開いてしまう。
目の前に、真奈美ちゃんの中指と親指がねばっこい糸を引いてくっついたり離れたりしている光景が再び現れた。

「あぁ・・・」
自分の股間からでた何かねばっこいもの・・・成長が遅めな男だったの僕は、こういうことにとにかく疎かった。
キスの感動はもう、どこかに行ってしまった。消えてしまった。
女の子になって、いきなりのいやらしい体験に、死ぬほど恥ずかしくて、すぐにやめてほしい気持ちでいっぱいだった。

でも、僕の目の前で単純な動きを繰り返す方とは逆の手が、また僕の股間に伸びてきた。
「いっやだ、やめて、あっふっ・・・」
さっきと同じ、不思議な感覚がまた股間に走ってしまう。女のアソコ。男のアソコは、おちんちん。
でも、女の子のアソコ、ってなんて言うの?
許してほしい僕は、それを言えばいいのかと思って、必死で記憶の糸をたどろうとする。

「し・・・きゅう・・・」
「へっ? 子宮?」
「あん・・・」
不思議な感覚はなおも続く。
口を開きながらも、真奈美ちゃんは、僕のアソコを、強弱をつけながら、なで続けているのだ。
「本当に知らないんだ・・・わかった。じゃ、質問変える。なおは、男だったころ、オナニーしてた?」
成長がおそくて、そういうことに疎かった僕は、オナニーという言葉自体知らなかった。
「・・・」

いつの間にか目は半開きになっていることが自覚できた。うつろな目をしていることを。
不思議な感覚に支配されて、でも、知らないことは知らない。
オナニーって、なに?記憶の糸をたどっても、そんな言葉すら僕は知らないのだ。
答えられない僕のアソコは、ますますねばねばのなにかを出しつづけている。それも自覚できた。

単に、言葉を知らないだけか、向こうではそういう言葉をあまり使わなかっただけか、
と真奈美ちゃんは僕の目の前の指でわっかを作り、上下にこするようなしぐさをした。
それすら、僕はなにを意味するのかわからなかった。
きょとん、と半開きの目のままでじっとその単純な動きをする手を見つめている僕。
「マジで? うわー。そんな男もいるんだ。かわいい」

真奈美ちゃんは、昔と同じように、自分がお姉さんだ、というふうな自負を持って僕を見下すようなため息をつく。
そして、僕を下から見あげて、アソコをなでるスピードをすこし上げた。
「じゃあ、これが、初めてのオナニーだ。気持ちいいでしょ」
「真奈美ちゃん、やめて・・・」
与えられたヒントにも、気づくことはなかった僕。それほど余裕がなかったのかもしれない。

実のところ、単純に意味がわからず、とにかく何か不思議な感覚に支配されながら、
恥ずかしさでいっぱいの僕は、とにかくやめてほしいと懇願する。

本音は、「オナニーってなに?」そうききたい。「アソコはなんていうの?」それも聞きたい。
単純な好奇心。エロいことを考えているわけではない。
「あらあら、ひくひくしちゃって。女の子になったばっかりなのにぃ」

真奈美ちゃんは、そういうといつの間にか閉じようとしていた僕の白い大腿をがばっ、と広げて、股間に顔をうずめた。
あまりのことに、僕は目を疑った。
なにするの?
お姉ちゃん・・・そんなところ・・・

「あっ」
真奈美ちゃんの口から舌が伸びて、さっきまで指がなでていた、「なにか不思議な感覚のするところ」に触れた。
その私の声を聞いて、真奈美ちゃんはこういう。

「ふふ。かわいいなぁ。なお〜きもちよくしてあげる」
そういうと、さっきと同じように、今度は下で、僕のアソコを、ちろちろ、となめ始める。
「あぁん・・・」
これ、きもちいい、っていうの?ただ、何か不思議な感覚が、アソコから、全身に走るの。
でも、これ、って、きもちいいの?
たしかに・・・きもちいい・・・かも・・・

「あぁん、あぁん・・・」
いつの間にか、声が止まらない。
目を閉じて、体をのけぞらせて、ひざを曲げて、後ろに逃げようとして、不思議な感覚に耐える僕に、真奈美ちゃんは、
「にげちゃだめぇ」
その一言で、僕は逃げるのをやめる。

「あは・・・ぁ・・・」
首を前後に揺らして、必死で逃げないようにする。両手は、シーツをしっかりとつかんでいた。
自分が逃げないように。そう、自分がどこかに・・・行ってしまいそうな、不思議な感覚だった。

「くぅ・・・ふぅ・・・ん」
自分が、エロい女になってしまったような気がした。
女の子になる、ということを、ただ文字通り「女の子になる」としかとってかんがえていなかった僕。
僕にとって、女の子とは、コツコツと勉強したり、僕が読まないような昔の小説を読んだり、男よりもしっかりしている。
そんなものに自分はならなければいけないと思っていたのに、
いきなり、テレビで見るような、いやらしく、堕落した、最低の女にされてしまったような、気がした。

「やめて・・・あっ・・・」
それでも、声は止まらない。真奈美ちゃんの舌が動くたびに、不思議な感覚が走る。
真奈美ちゃん・・・いやらしい・・・エロい・・・僕も・・・エロい・・・そんなの、いや・・・

自分の中の、真奈美ちゃんのイメージが、そして、女性のイメージが、女の子のイメージが、一気に壊れていくのを感じる。
自分も、むこうでは「しゃべってはいけない単語」として教わったものになってしまった、そんな気がして、許せなかった。
でも、不思議な感覚は、僕の体を駆け巡り、声は止まらない。

「あぁん・・・」
これが気持ちいいの?そうなのかも・・・そうなのかな・・・
そんな、疑問とも自分への説得ともつかない感情を一気に納得させる出来事が起きた。
「あぁん・・・!」

少し、僕のアソコをなめまわしていた真奈美ちゃんの舌が、少し上に移動した。
一瞬、不思議な感覚は止んで、正直、安心した僕に一気に信じられないほどの「気持ちいい」が襲ってきたのだ。
やさしく、僕のその部分をなめまわした真奈美ちゃんの舌は、なにか、「こりっ」としたものを探し当てて、
僕は、これが「気持ちいい」っていうことなんだ、って教えられた。

「いやぁん!」
さっきと同じように、僕はその「気持ちいい」を嫌悪して、後ずさりする。
「あら、そんなに気持ちよかったぁ?」
真奈美ちゃんがうれしそうに僕に聞いてくる。一瞬にして、涙があふれた。
「うぇ、うぇ、ぇーん・・・」

僕は泣き出した。その姿を見て、真奈美ちゃんはまたあきれたようにため息をついて、さっきと同じ、アソコの上のほうをなめまわす。
「ぇあっ・・・あっ・・・」
涙が止まらないまま、「気持ちいい」がまた始まった。

「あぁん・・・」
エロイ、オンナ・・・そんなのいや。僕は必死で抵抗しようとする。
でも、なにに? 自分がエロいこと? 女の子になったこと? アソコをなめられて声をあげていること?
どれも、自分の力じゃ、抵抗なんか出来ない。だから、涙が止まらない。

「あはぁん」
僕のアソコに顔をうずめる真奈美ちゃんの口からも、いやらしい声が出る。
それを見た僕は、いまさらながら、お姉ちゃんが、真奈美ちゃんが、エロい女の子なのだと、知ってしまう。
そんな・・・真奈美ちゃんは・・・そんなんじゃない。僕の知ってる、お姉ちゃんは・・・

「ふふ。あはは」
ふたりの目があう。
お姉ちゃんは決まり悪そうに少し笑って、こっちにいたずらっぽい微笑を向けたと思うと、
すぐにもう一度僕のアソコに顔をうずめなおした。
「あぁん・・・いや・・・」

そんなお姉ちゃんの、真奈美ちゃんの顔をみたら、何か僕も幸せに笑えるような気がした。
でも、やっぱり、僕はそんな汚いの・・・いやだ。そう簡単には整理のつかない僕の心。
女の子って、こんなじゃない・・・
「でも・・・きたない・・・そんな・・・きもちいい!」
心で思ってることが声に出てしまう。そして、言葉で、気持ちいいということを認めてしまった。

しかも叫ぶように。僕は、自分が気持ちいいことを認めてしまった。
アソコをなめられて、気持ちいいことを。
それに気づいた真奈美ちゃんが一瞬顔を上げて、勝ち誇ったような顔をする。

「あぁん・・・そんな・・・」
恥ずかしさで、顔を真っ赤にしてしまう僕。男だったときよりも、僕の顔は赤くなりやすいのかも。
そして、涙も出やすいのかも。ひょっとしたら、気持ちよくなりやすいのかも。
真奈美ちゃんは、アソコをひろく、舌でなめまわす。口で吸ったりする。
10本の指でもなでまわしながら。優しく、激しく、刺激する。
「あぁん。あぁん。気持ちいい」
もう、いい。エロい、いやらしい、女の子でいい。そう、あきらめたら、ますます、気持ちよくなれるような気がした。
「あん、あん、あん・・・あはぁ・・・ん・・・はぁ・・・」

何かが脳天を突き抜けて、全身から力が抜けた。僕、どうしちゃったんだろう・・・力が入らない・・・
「あれ?」
真奈美ちゃんが、僕の異変に気づいた。
僕は、ベッドに仰向けになり、生まれたばかりの女の子の裸体を無防備に晒して、
右足をまげて、左足は伸ばして、両手は火照る顔を押さえて、息を激しく荒らしていた。体に力が入らない。

「いっちゃった?」
もちろん、そんな言葉も知らない僕だった。
いやらしいことをしてしまったから、バチがあたって、死んでしまうのかとも、一瞬思った。
でも、この状態を「いく」と表現するのは、とても、そのとおりだと思ったのもたしかだ。
「エッチだなぁ。もういっちゃうなんて。まだ女の子になって何日も経ってないのにぃ!」

時間がたつと、息が落ち着いてくる。体にも力が入るようになる。
「ほら、きもちよかったでしょ? 女の子の体もいいもんだわさ」
真奈美ちゃんが笑って聞いてくる。
でも、そのとき、僕の意識には、反対に「エロい」ことへの嫌悪感、罪悪感がよみがえってきたのだった。

「いや、そんなのやぁだ」
僕はそういうと、泣き出してしまった。僕は男なのに、こんな、エロい女じゃないのに。
さっきまでの気持ちは、どこかに消えてしまっていた。

「でていけ、真奈美ちゃん!」
枕を、布団を投げつけて、真奈美ちゃんへの拒否反応を示す僕。
「わかったわかった。ごめん、ごめん」
優しく、ぼくをまた抱きしめようとする真奈美ちゃん。でも、僕は、その手を振り払って、泣きつづける。

真奈美ちゃんは出て行った。ば
たん、とドアが閉まる音を聞いて、僕はひとりぼっちになってしまったような気がした。
エロい女の世界に投げ込まれた。ただ一人の男として。孤独になってしまったような気がした。

次第に、さっきまでの気持ちがよみがえってくる。
気持ちよかったんだからいいじゃないか、という、素直な気持ちが・・・
でも、そんな自分への、エロい女への、嫌悪も、消えなかった。

その日、僕と真奈美ちゃんは、夕ご飯のときも、事務的な会話しか交わさなかった。
僕の中での真奈美ちゃんのイメージが崩れてしまったことが許せなかった。
次の日の朝まで、ほとんど口を利かなかった。同じ屋根の下。
せっかく久しぶりに会えて、姉妹になれたのに、どうして・・・そんなのいやだ・・・

でも、真奈美ちゃんが、あんなことするなんて・・・
でも、気持ちよかった・・・
「気持ちいい」と「許せない」。矛盾した心の中が、結論の出ないもやもやを積み重ねる。

僕は、結局、女のアソコがなんというのかも、
「オナニー」というのがなんなのかもわからないままだということに気づいた。
部屋にあった国語辞典で調べても、さっぱり意味がわからなかった。

その夜、僕はなかなか眠れなかった。
それは、さっき、真奈美ちゃんがやってくれたように、自分で気持ちよくなりたいと思って、試してみたからだった。
でも・・・なかなかうまくいかなかった。
そんな自分が情けなくて、そんな自分がエロいことをしようとしているのが許せなくて、
泣いたり、また、アソコをいろいろ触ってみたり・・・そんなことをしているうちにいつの間にか眠ってしまった。

翌朝、僕は・・・そんなことを半分くらいしか覚えていないまま、
女の子としての登校の準備をして、少し大きめのセーラー服に身を包み、
朝ごはんを家族みんなで食べて、お姉ちゃんとは別々に家を出ようとした。

真奈美ちゃんが、追いかけてきた。
「なおぉ〜・・・まだおこってるのぉ?」
僕は、おこってるのか、おこっていないのかはわからなかった。
昨日の夜の、気持ちいいことへの欲求と、いやらしい女への嫌悪、
お姉ちゃんへの怒り、そんなものが全部ごちゃごちゃになった感情の中にいた。

「・・・」
「だまってたらわかんないでしょ!」
真奈美ちゃんの強い態度に、僕はその感情をどれかひとつに絞って、口にしなければいけない、と感じた。
その、答えは、頭で考えるよりも、正直な感情だったのかもしれない。
「真奈美ちゃん・・・」
「なぁに?」

「・・・お姉ちゃん、ってよんでもいい?」
「いいよ。・・・って、こたえてないやん!」
僕は、その、正直な感情を口に出すことをためらっていた。ごまかしてしまう。
「なぁおぉ〜正直にいいなよぉ」
僕の心の痛いところをずばりついてくる真奈美ちゃん。今度こそ、僕は心を決めた。

「・・・きのう・・・の、気持ちよかった・・・また・・・」
真奈美ちゃんから、少し目をそらして、恥ずかしさいっぱいで、僕は言った。
「ふぅん。それはよかった」
私の頭をなでてくれる、お姉ちゃん。その行為で僕の心はものすごい安心感を得る。
そして、お姉ちゃんの顔を正面から見つめる。

「また、なあに?」
「・・・また・・・今日も・・・して・・・ください」
「それだけ?」
「きのうはごめ・・・」

「そんなことじゃなくて。昨日は私も悪かった。何か教えて欲しいことがあるんじゃないの?」
そのとおりだった。
昨日の夜、ずっと、いやらしいことをしようとしながら、
僕は、女のアソコと、オナニーとはなんなのか、そのいやらしい響きがなにを意味するのかを考え続けていた。

「お・・・女の子の、あ、アソコはなんていうの? それからぁ、オナニーって、な、なぁに?」
真奈美ちゃんは、笑いながら、
「そんなこと道の真ん中じゃいえないでしょ。いやらしいなお。
帰ったらあとで教えてあげるから、おまんこぬらして待ってな!」

まなみちゃんは、「あっ」とわざとらしく口を押さえて、それでも、
オナニーの意味は教えてくれないまま、一人駆け出した。
「待って、真奈美ちゃん」

「今日は、昨日よりも、もっとかわいがってあげる!」
駆け出した真奈美ちゃんは振り返ってそう言うと、また駆け出した。
僕は「かわいがってあげる」という言葉にきゅん、となって、しばし立ちすくんだ。
「はっ・・・まってよぉ!」

女の子になりたての僕は、女の子を演じるような猫なで声でそういうと、真奈美ちゃんを追いかけた。
女の子になって、新しい生活が始まった。
僕ははじめての女の子としての身体検査の待つ、中学校へとお姉ちゃんを追いかけながら向かった。


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