朝起きたら胸があった。いや、何かが胸にあった。
うつろな意識のままとりあえずその「違和感」を確かめてみる。
ぐに。むにゅむにゅむにゅ。
………………うん。なかなか大きくて良い揉み心地だ。それに少し気持ち良いし。
「…………………………ぅん?」
はた、と揉むのを止め、たった今降ってわいた疑問の回答を得ようとする。
…………俺の体にこんなのあったか……………?
「……………………………………………………えぅ」
がばっ!!!!
ばっ!
一気に布団をはねのけ着ていた寝間着のティーシャツをガバッと一気に脱ぐ。
そして問題の個所に目を移す………………
「な、ななななななななななななななな!!!!!!」
目が一気に覚める。
胸が大きく盛り上がっている! そんな馬鹿な!
しかも乳の先の部分まで明らかに発達してて男の授乳用ではないそれの形とは大きく違う!
これではまるであのおっぱいじゃないか! いや、なんで!?
昨日寝たとき! 昨日寝たときはこんなのはなかった! どーなってんだこれ!!
両手で放り出した胸をわしづかんだまま目を見開いて中空斜め下の一点を凝視して口をパクパク。
ぐるぐると頭で考えを張り巡らせる。他人から見たら何やってんだろうと思われるであろう。
パニック。いや、パニックにならない方がおかしい。こんなこと、ありえない。
………いや、それでも落ち着かなければならない。
騒いでも解決しない。うん。いつもの俺らしい考え方だ。
……………で、これは一体…………………全体………。
ふむ、おっぱいは女の子にしかないよな……………つまり俺は女の子?
…………クッ。
自分で考えて笑ってしまう。俺はまごうことなき男だ。馬鹿馬鹿しい、ありえない。
顔に手をあて首を振り、考え直す。
するってーと…………………は! そうか! 病気!よく分からないけど胸が物凄い腫れる病気!
それなら納得出来る! そうだそうだ! そうとしか説明が付かない!
「………なーんだそうか、それなら…………」
…………………違う!! それはそれでやばいんじゃないか!?!?
「と、とにかく急いで病院に! き、着替えないと!」
掛け布団を放り投げ、だばだっ!とベッドを降りる。
と。ずるっ。寝間着のトランクスがずり落ちる。
「うぁ!」
足がもつれドダッと無様に転ぶ。
「く、こんなことしてる場合では………!」
立ち上がり、トランクスの前部分を右手でつかみ
無造作にぐいっと上げつつも、ヨタヨタ着替えの畳んでおいてある机に足を踏み出し………………………
はて。
おかしい。何か変だ。なんというか、足りない。感触が。前に手をやったのに。
こう、いつものむにゅ、がない。
「……………………???」
トランクスのゴムを引っ張り中をうかがう。
晴れあがった胸が邪魔だ。もう片方の手で視界を遮っている片方の胸をどける。………見えない。
いつものが見えない。隠れているのか?首を動かして角度を変えてしげしげと捜す。
無いはずが無い。いつもあって当たり前。ゆえに隠れてみえないという考えが自然にでる。違和感無く。
埒が明かない。手をやり、捜す。何か変な感触。小さな突起と、その下、左右にある弾力のある延びる皮。
おかしいな…………。ない? さらに探る。なんかでこぼこしてる。玉袋の筋が萎縮してんのかな?
と。
「……っ!」
しびれる。なにか触った。びくっと指を離す。そう、触られた方の感触でわかる。
これはオシッコの穴だ。しかし、そこで疑問が浮かぶ。
「…………ぅん?」
オシッコの穴はいつもアレの先にある。股に直接ついてはいない。これはおかしい。
パンツ一丁。がに股で手を乳とパンツの中に突っ込んだままの姿勢で、また中空の斜め下を凝視し今の情報を頭で張り巡らせ整理する。
その姿は実に間抜けだ。
結論。股間がおかしい。いや、股間もおかしい。
…………………ど、どーなってるんだ! 俺のチ○ポ! た、確かめなければ!
踵を返し風呂場に駆ける。風呂場でトランクスをバッと脱ぎ、洗い場の備え付けの大鏡の前に。
全裸で股を広げ股間を突き出し、伺う。しげしげと。体裁なんか考えてる場合じゃない。
…………………………違う。これは違うぞ。これは………………チン○というより………
それに。写っている人。顔が俺ではない。目がくりくりと大きい。輪郭が小さい。鼻がすっきりと高い。
髪も延びてる。おかしい。短髪だったはずだ。なぜ肩まである?
しかしこの顔。俺というより、俺に似ているって感じ。そう、双子の妹。いないけど。いたらこんな顔かも。実に可愛い。
いや、しかし、この腫れ上がった胸。病気のせいか知らんが可愛いくなった顔。男としては妙にくびれた腰。
足も少し細くなってる気がする。で、取れた(?)チ○ポ。そしてその代わりについてる…………これ。
「あ、うう、ううううう………」
今更気付いたが声も高い。明らかに男のそれではない。
これ、これは、この姿はまごう事無き……………女の子!!!
「う、あ、あ、あ、ああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「ななななな、何の騒ぎだ!?」
ルームメイトで友人の灰谷がこの騒ぎで起きたみたいだ。こっちに駆けてくる足音が聞こえる。
ダダダッ!
「な、何だ!? なにやってんだ卓哉!」
眼鏡の真ん中を中指で押し上げつつ、来た。
風呂場のドアは開いている。そこで、灰谷が見たもの。
「…………………は、灰谷…………」
ここの部屋風呂は無駄に広い。この学園寮の特徴だ。風呂桶の面積も含めて6畳くらいか。
入り口の向かい奥にトイレもある。で、入り口から見て鏡は手前横の壁にある。
その鏡の前で全裸で股を突き出した状態で固まったまま出迎えてしまう。二人とも固まる。
「……卓哉……なのか? いや、似てるけど……? いやでも、それ……胸……と」
灰谷の目が一点で止まる。
目線はもちろん
「……………(ジーー)」
で、この体勢。いくら同性(?)でも急に恥ずかしくなった。
「み、見るんじゃねぇぇぇぇぇ!!」
スバっと間合いを詰め即座にハイキックを顔に叩き込む。
「ぶべらっ!」
物凄い勢いで飛んでいく灰谷。人は空を飛べる事を身を持って証明するかのようだ。
その時。入り口ドアの鍵が開いた。
「おまえら、朝から何をやっとるかぁ!」
体育教師兼寮長の橋本先生。白いティーシャツにブレザー。
その下の筋肉。熊のようなその姿は思春期の粋がった青年たちに慎ましさを覚えさせるのに十分な迫力だ。
起床間も無いこの時間の非常識な騒ぎを注意しようと来た橋本先生が見たもの。
そう、全裸の少女と入り口で倒れている万年問題児の寮生、灰谷。
………………これをどう説明しろと。
とりあえず先生は橋口は服を着るようにいい、すぐに灰谷とルームメイトの俺、
そして謎の少女(それも俺)は、すぐに学園理事長室に来るように言い残し、どすどすと去っていった。
もちろん俺は誰で、なんでそこにいたのかである。先生の退室後すぐ自分の制服を着る。
いつも通りに。しかし、ズボンが緩くなってるし上も肩幅がガバガバだ。
どうやら体型ごと女らしくなっているようだ。今気付いたが身長も165くらいだろうか。
世界が低い。元は175だったのだが…………。
早朝。だれもいない廊下を灰谷と理事長室へ向かう。寮と学園校舎は隣り合っていて、渡り廊下で繋がっている。
理事長室は校舎内だ。面倒くさいが逃げるわけにもいかない。寮は入り口が渡り廊下の一つしかないから逃げられないのだが。
先生がその場で連れて行かなかったのもそういった逃げられない事を見越してである。
と、そのとき灰谷が恐る恐る話し掛けてくる。
「な、なあ、君………一体誰「蘇芳卓哉」」
「い、いや、だってあんた女の子「女になったんだよ」」
「そ、そんな馬鹿「それは俺の台詞だ」」
「な、だってそんなことありえない「ありえないよなあ…」」
………………自分でも無茶苦茶言ってるのが分かる。自分でも上の空である。
只一つだけ考えていたのは、コレはなにかしらの病気であるということ。人間の体に成長以外の変化があるとすればそれは病気しかない。
魔法であればどんなに話が楽か。とにかく、見て触って確かめたんだ。俺は今間違いなく女になってしまっている。
それは受け入れるしかない。問題はそれでどうするかなのだ。何時だってそうだ。
問題は悩むのではなく解決するものだ。……自分でも前向きすぎると思うが。うん。それが俺だ
「とにかく俺の体に何が起こったのか調べない事には…………」
そう、俺の行動は決まっている。まずは病院。そんな事を考えているうちに理事長室の前に着く。
灰谷が俺をチラチラ見ながらノックする。
「………なんだよ?」
「え、いや、別に………」
中から声がした。
「どうぞ」
「「失礼します」」
綺麗にハモる。部屋の中には二人。理事長と橋口。俺達が入ってすぐに橋口が言った。
「蘇芳はどうした!? 3人で来いといったはずだ!」
「………………はい」
軽く挙手。
「………………………なんだね?」
どういったものか迷ったが………生憎、巧い嘘が浮かばなかった。
「俺、です。蘇芳…卓哉」
「? な、何を馬鹿な…」
「いやあ……でも」
やはり真実を言うのも、なあ。
「…君は確かに蘇芳君に似てるが、妹さんかね?」
と、俺と灰谷の写真のついた何かの書類を見ながら理事長。
まあ、俺みたいな生徒一人一人覚えてるはずが無いな。
「…俺に、妹はいませんよ」
「君じゃない! 蘇芳卓哉にだ!」
橋口が激昂する。
「いや、俺が蘇芳卓哉でして」
それを聞いて顔を赤くする橋口。
「おい、馬鹿にしているのか君は!」
「いえその、なにかにバカされてるのはこっちでして………」
甘かった。やはり何処からも説明つきそうにない。
理事長が、
「ふむ、確かに妹さんはいないようだ。だがしかし…蘇芳卓哉は男で君は女。
確かに良く似てるが……本気でなりすまそうとしてるならもっと巧い嘘をついたほうがいいな」
腕を組んでいう。
「いえ、男が女になったんです…」
「大体、灰谷!お前はこの女子禁制の学校で何をしとるのか!お前が連れ込んだのだな!」
無視された(´・ω・`)
……そう、この学園は男子校。女っけ一切無しだ。エロ本の類ももちろん禁止。
「ち、ちが、朝起きたらこの子が風呂場にいて…」
「いえ。だから俺は蘇芳…」
う。周りの俺を見る目が段々頭の気の毒な人を見る目になっていってるような気がする。
「………大体君はどうやって部屋に入り込んだのかね?」
「どうって…消灯のロックかかる前です」
この学園の寮のセキュリティは非常に厳重である。
消灯時間には全部屋に一斉に電子ロックがかけられ、生徒が勝手に外に抜け出て遊ぶ事のないようにしている。
窓も格子がついてるからどうしようもない。
しかも俺と灰谷の部屋は5階だ。窓から忍び込むのには梯子車でもない限り無理だ。
つまり監獄と一緒である。ま、それゆえこの学生寮に風呂とトイレ、冷蔵庫までが個別についてるわけだが。
「……ロックがかかる前。当たり前じゃないか……」
理事長が腕組みをしてジト目でこちらを見る。
「この寮のセキュリティはそれなりに完璧のつもりだ。それを君は…」
「ええ、ですから俺は蘇…」
「…………………………」
「…………………………」
「…………………………」
(´・ω・`)…………。
いっそ警察に突き出されたほうがいいかもしれない、と半ば自殺衝動に襲われるがそれまで黙っていた灰谷が口を開いた。
「…そんなにいうなら指紋照合するのは?」
「………!」
それがあった。
理事長に詰め寄る。
「理事長! 俺の指紋と蘇芳卓哉の指紋データを合わせて見てください!」
指紋。この学園特有のシステムである。図書の貸し借り。学園の出入り。ロッカーのロック。
そういったものは全て自分の指紋で照合する。なんともハイテクノロジーなことである。
まあ、便利ではあるが。しかしそれが吉と転じるはず。
何とか二人の先生に強く訴え、
「ま、やってみるだけやるが。納得したら警察に行ってもらうからね…」
と疑われまくりだがなんとか照合にこぎつけた。結果。
「ば、馬鹿な……」
やはり。体の変化は指紋までは及ばなかったらしい。蘇芳卓哉のセキュリティーは俺の指先であっさりと解除される。
当たり前だが。
「こ、壊れてるんじゃないか?」
橋口が試しに触る。
もちろん開くはずが無い。
「そ、そんな……」
「わかって、もらえましたか……?」
「な、なにかハッキングでもしたんじゃないのか!?」
俺は首を振り、
「この学園のファイヤーウォールはハッキングは物理的に不可能のはずです。第一その部屋には守衛さんも」
胸を張ってフフン、と言ってやる。
「む、むむ……」
そのあと一気に捲し立てた。信じ込ませるために。俺の家族構成。学園での成績。日ごろの態度。
知っている事は全部話した。そして、この変化もありのまま話した。
漸く。
「にわかには信じ難いが………」
「うむむ…………」
「卓哉…お前一体……?」
戸惑いの声で満ちる。しかし一番戸惑ってるのは俺なんだが。
理事長が、
「と、とにかくそれは一体どういう現象かね?」
「はい。病気かなにかかと」
「病気……?」
「た、卓哉。それはいくらなんでも無理があるんじゃ…」
俺もそう思うのだが。
「じゃあ魔法です、とでもいうのか?」
「うぅ…」
閉口する灰谷。
「いいですか。この体に変化があったのは事実。そしてその変化には必ずなにか原因があるはずです。何も無ければ何も起きるはずが無い」
理事長が、
「し、しかし。男が女になんて」
「えーと…………。そう。例えば、理事長。理事長は地球が丸いという突拍子もない話信じてますか?」
3人の顔色が変わる。
「おい、卓哉。信じるもなにも」
「そう、事実になってる。何故か。証明がなされたからね。
古きはマゼランの部下が西にひたすら進み帰港し、地球が丸い事が証明されました。そして今は宇宙から見下ろして。
だからみんな納得している。この証明がなされてない時代では地球は平らという説が常識でした。それといっしょです。
そして俺が女になった事は事実です。
俺自身すら今は半信半疑ですが、調べれば納得の行く答えがきっと出てきます。納得はそのときしてください! だから、理事長!」
机をバン!と叩き理事長の目を見据える。
沈黙。
「わ、わかった。君が蘇芳であると認めよう」
「う、うーむ……しかし。」ぶつぶつ言う橋口。
われながら凄いハッタリ&ごり押しである。しかし、そうなった以上他に説明しようが無い。
と、とにかく警察につれてかれて若くして留置所に叩き込まれる道は回避出来た。
「で、早速ですが病院に…」
「あ、ああ、そうだな。取りあえず見てもらったほうがいいな……」
力無く言う理事長。
「うむむむ。女化なんて…」
胸元をじろじろと見る橋口。無礼なやつだ。
……さっきから気になってたんだが……どうも灰谷と橋口の視線が俺の腫れた胸に集中してる気がする……。
特に灰谷…………。灰谷と向き合う。
「あ、う」目を泳がせたあと。
「お前、本当に?」
「そうだよ。さっきからいってるじゃないか…」
胸をじっと見て。ぐわし。
「えぅ!」
卓哉は思わず変な声を上げてしまった。突然ブレザーの上から両手で揉まれたのだ。
「ほ、本物………?」
ぐにんぐにん。
「…………や、やめんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
灰谷は二回目のフライトに成功した。
◇◆◇
病院に行った。恐らく本当の事を話しても学園ではハッタリと指紋で何とかなったものの、病院では通じまい……。
むしろ精神病院に行かされるだけだろうからそれはよそう。
とりあえず本当の事は言えないから人間ドックにはいった。そこでなにかあったら儲け物。
そこで話を切り出して治療法を見つけてもらおう。何も見つからなければ、いっそ性転換手術を………。
いや、駄目元でいうべきか。色々考えた。そして結論は。とりあえず日常に戻ろう………そう決めた。
とにかく、検査結果は2週間後といわれた。
「なんで男物のブレザーなんて着てるの? 可愛いのに」
ともいわれた。女はこれをセクハラというのか?
まあよくわからんけど。とにかく。
それまでは現状維持かな。検査が終わった頃にはもう夕方5時を回っていた。とりあえず寮に戻ろう………。
少し離れた病院だったため帰るのが7時になってしまっていた。7時は消灯時間。というか隔離時間。
今時7時なんて小学生でも寝ないぞ……。とにかく事情を知っている橋口に話を通して開けてもらった。
部屋に入ると灰谷が風呂から出てきたところだった。
「よう、どうだった?」
「どうも糞もないよ。結果は2週間後」
「む、そうか」
ほこほこ湯気を立てている。
「…………………………」
灰谷が黙る。
「な、なんだよ?」
「そんな格好で寒くないのか?」
そういえば冬の寒空。体が冷える。女の体は冷えやすいというのは本当か…。沸いてたら入りたい。
「あーと、風呂沸かしてたの? それともシャワーだけ?」
「ん? ああ、湯を張って入ったよ」
「そうか、じゃあ入るかな……」
ブレザーを脱ぎながら奥の部屋に行き、タオルと着替えを用意する。
そういえばこの時からすでに、だろうか。灰谷の目が男同士の親友を見る目ではなかったのは……。
風呂に入った。まずは体を洗う。鏡の前に立ったまま改めて自分の体を見る。胸がそこそこ大きい。
足もすらりとしてる。腰がくびれている。そして…むろん無修正のアソコ。
パソコンでは海外サイトで無修正が見られるらしいが生憎、パソコンは厳禁。最初に見たのはそう、学園に入る前。
灰谷のアニキが持ってた無修正の裏本。そういえばアソコだけでなく女の裸自体アレ以来見てない。
ここはさしずめ禅寺である。で、やっと見れた裸が自分の裸。皮肉な話だ。見ても興奮しない。
それもそうだ。自分の毒で機能障害起こす河豚が何処にいるのだ。そんな他愛の無い事を考えつつ立ったまま洗う。
…………………なんか冷える。窓が半開きなのか…………?
しかし、今はシャンプー中。目を開けられそうに無い。とりあえずお湯の温度を手探りで上げて調節する。
お湯が心地よい。気持ちいい。今日はゆっくり眠れそうだ―――― ふとそんな事を思った。
灰谷はそんな卓哉の一部始終をドアの隙間からじっと伺っていた。
思春期。最も性欲が昂ぶる時期の学園での禁欲生活。灰谷には耐えられなかった。以前それで数回脱走した。
そしてH本やアダルトビデオを買い込み何食わぬ顔で帰寮。それがせめてもの「女」だった。
しかし警備は厳重で、危険を冒して買ってきた本はすぐに没収となる。そして謹慎。
それが灰谷の問題児足る由縁であった。しかしこの常時牢獄寮で謹慎とは。何の意味があるのか。
笑ってしまう。そういって繰り返した。しかし、また御用。謹慎。それを何回も。
そんな中で彼のフラストレーションはどんどん溜まっていた。と、同時に女性は神格化されていった。
どんなに恋焦がれても手の届かない存在。それには彼のルックスへのコンプレックスも手伝った。
鏡を見るたび見えるぱっとしない顔。若干太った体型。
親友の卓哉は違う。
スポーツ万能。中性的な整った顔。すらりとした体型。
コンプレックスだった。俺では女性は振り向いてくれないに違いない……。そうおもっていた。
益々、女性は彼の手の届かないところへ行くようだった。
そんな灰谷に卓哉は唯一の理解者ようなものだった。
小学校からの腐れ縁。なんだかんだ言っていつも俺みたいなのに付き合ってくれた、と。
こいつならなんでもわかってくれる。実際そうだった。
卓哉は灰谷を拒絶しなかった。ある意味灰谷にとって心の絶対的なポジションを占めていた。
しかし、それはやはり男同士である。
正直もっと親しい関係になりたいがこれ以上どうしようもないし、まさかゲイでもあるまいし、どうしたくも、どうしたいとも思いたく無い。
しかし、今日の出来事はそれらを全て吹き飛ばしてしまったのだ。
いま、卓哉は女だ。性転換手術とかの偽者ではない。本物である。
神格化された女性と自分の心の拠り所の両方を併せ持った存在が突如目の前に現れた。
そしてなによりそれは卓哉…………恐らく"俺を受け入れてくれる"
いや、それでもまだ、やはり男同士だから、というためらいもあった。だからそう。せめて見るだけ。
屈折している。だがそれがわからないほど彼は激しく目の前の神秘的な存在に心打たれていた。
さすがにこれを目の前にしては灰谷は居ても立ってもいられなくなったのだ。じっと見る。
たわわな胸がシャンプーの泡を弾き返す。くびれた腰がシャワーの水を纏い、怪しくくねる。
丸く小さい尻は泡を纏い、まるでクリームを載せたプリンのようだ。
すらりと伸びた足は肉付きがよく一日中頬擦りしていたいほど扇情的だ。
そして、大事なところは………まだ、まだ見えない。
ここでふと卓哉がこちらに背を向ける。
「………?」見えない目で蛇口を手探りで探してるみたいだ。
卓哉が腰をかがめた。尻をこちらに突き出す格好。………その時見えた。丸い尻と太股の間にこの上なく淫靡に見える、"本来見てはいけないモノ"。
この時、たった今、一線を超える決意をした。
「あいつなら頼めば絶対やらせてくれる………」
灰谷の頭にその言葉がこだました。
「うー、さっぱりー」卓哉が風呂から出た。寝間着のタンクトップと半ズボン。
濡れた紙をふきながら部屋に行くと灰谷はみかんをもそもそ食べながら本を読んでる。
「お、みかんじゃないか。どっからそんなもの持ってきたんだ?」
「んー? 今日の夕食のデザートの残りを持ってきたんだ。ああ、そういや飯食ってないんだっけ?」
「いや、飯は…バリウムかな……」
レントゲン撮ったときのあれくらいか。
「……………アホか。ほれ、やるよ。他の寮生が食べてないのをもらってきたから」
灰谷は3つのみかんを差し出した。
「おおお、サンキュー」
卓哉が喜んで受け取る。
その無防備なしぐさ。タンクトップからピンク色の先端が灰谷にはチラチラと見えた。
ふわっ、と髪の匂いもする。甘い甘い匂い。ここまで甘美な香りが地球上にいくつあるだろうか?
思わず飛び掛かりたくなるのを灰谷は必死に押さえる。決行は深夜寝静まってから………
そんな灰谷の思惑を余所に卓哉は無邪気にみかんを剥いているのであった
そして、深夜。
2人部屋の二段ベッド。卓哉は下。灰谷は上。
灰谷が備え付けの階段を足をかけすとんとおりてくる。目はこれ以上無いほど血走っている。
これからの未知の体験とその期待に股間は最大に膨れ上がったままだ。
その視線の先には卓哉が寝ている。ぐっすりと。掛け布団を抱き枕のように丸め込んで寝ている。
艶めかしい足が窓からの月明かりで浮かび上がる。最早たまらず灰谷は卓哉に覆い被さった。
布団を剥ぎとる。ごろっと肢体が投げ出される。
まだ寝ている卓哉に馬乗りになり、柔らかそうな胸にぐにゅ、と顔を埋め数回深呼吸。
すーはーすーはー。甘美な匂い。かつてこれほどの悦楽を味わったことがあるだろうか。
繰り返す。すーはーすーはー。深呼吸しつつ顔をもぞもぞと動かしてみる。
押し返す胸の弾力が心地よい。胸の部分が涎でべっとりとなる。でも気にしない。そのとき。
「ぅ、、ぅん??」
さすがに…起きる。起きたら何かが上にいた。
「…………………え?」
一気に目が覚める。灰谷が胸にむしゃぶりついてるから。
「!!!!! おいおいおい! 何の真似だ!?」
と、灰谷の顔をぐい、と胸から押しかえし大声を出す。
「……………卓哉。」灰谷が我に帰る。
「く、狂ったか!? 馬鹿な真似は止せ! 馬鹿!」
ズザッと後ずさる。でも後ろは壁。ドン、と当たる。
「……………卓哉」
目の色がいつもと違う。……ずい。身を乗り出してきた。
「お前、いつも言ってたな。いくらなんでもここは生活に女っ気がないって」
「え? え? う、あ。」
異様な雰囲気と寝起きの頭で巧く言葉が紡ぎだせない。
「なあ、そういう気持ちわかるだろ?」
「なな、なにが……………??」
あとずされない。壁がある。追いつめられた卓哉は手を彼方此方にさまよわせてなにか捕まるものを捜す。
本能的な行動。その動きは滑稽であるが、もはやだれも気にしてない。
「なあ、お願いがあるんだ。」
灰谷が更に詰め寄る。
「い、いいから顔を近づけるな。そ、その、男同士キモちわるい、しさ」
卓哉の顔が引き攣る。迫り来る顔を押し返す。しかし非力。気にすらしてない。さらに灰谷は顔を寄せ、言う。
「裸を、見たい。見せてくれ」
「な、なそそんなこと!」
と。ガシ!灰谷が肩をつかんだ。
「えぅ!」
見を縮こまらせる。
「ちょっとだけ。ちょっとだけだから」
肩におかれた手がタンクトップの裾に延びる。
「や、やめろって! 変だよ! こんなの!」
その手を制止し抵抗をする。
「いいから! ちょっとだけ! ちょっとだけでいいから!」
手につい力が入る。そして。ビリビリビリィィィ!!!
飢えた灰谷の前に鮮やかなピンク色の飾りをつけた、たわわな胸が姿を見せる。しかし卓哉は本能的に手で胸を隠した。
「じょ、冗談、きついよ、灰谷ぃ…」
声が裏返り顔が引き攣る。まずい。
オートロックの密室。暗がり。二人きりのこの空気。この状況の結末が頭を過ぎる。
しかし灰谷はそんな事にかまわず、
「見せて」
と語気強く、両手首をつかみ万歳をさせる。改めて胸が灰谷の前に晒される。
「あ、ちょ、おい!」「
しっ。大きい声出すなよ。皆来ちゃうだろ」
「あ、う」
なぜか卓哉はその言葉に怯んだ。寮生から体裁を守るためか。
それともこの自分に対し発情しきった古き友人をかばうためか。自分でも理解出来ない。
助けを呼べばいいのに。
灰谷は万歳させたまま、何もせずにずっと胸を凝視している。怖いくらいだ。
「お、おい、はいた…!!」
その時。灰谷がその胸にむしゃぶりついた。ちゅーーーーーー。
「ううぅっ! ちょっ! やめっ!」
腰をくねらせ抵抗する。しかしその動きも相手の劣情を掻き立てたにすぎなかった。なおも吸い続ける。
時折べろんべろんと乳房全体を舌で嘗め回した。舌の圧力で乳房が形を歪ませるくらい激しく。
「うんん! うん!! や、やめ…」
そして甘美な感覚が卓哉を襲った。今迄経験したことがない、胸の快楽。しびれる。
「うんっ! うぅぅぅぅぅぅぅ!」
声が漏れる。男に舐められて感じるなんて冗談じゃない。でも、気持ちいい。
灰谷はお構い無しに乳房を嬲り続ける。時折乳首を甘噛みしたり、嘗め回したり。
「ああぅぅぅ……っ!」
万歳のポーズをさせられたままずっと胸を吸われ続ける卓哉。
姿勢はいつしか壁に押し付ける形から、横たわって上にのしかけられてる状態になっている。
「っ………はぁはぁっ……………レロ、チュっ………はぁ、甘くて、美味しいよ……………ッチュ」
「ば、ばかやろぉ〜〜ぉぉ」
もはやなすがまま。ずっと嘗め回され、絞り取られる。やる事といえば声を上げ腰をくねらす事だけ。
それは只、この獣のスイッチを入れてるの過ぎないのだが。
…………………何分、何十分たっただろうか。
動きが落ち着いてきた。そして最後に。右の乳房を下からレロォ〜〜っと形を歪ませながら舐め上げた。
舌がようやく離れる……離れたその舌と乳首の間に一本の涎の糸が出来た…。それは粘着質に光り、とても淫靡に思えた。
行為の第一段落が終了し、舌を出したままの灰谷とふと、目が合い、しばし、見詰め合う。
「………っはぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、………」
卓哉は何もいえなかった。熱っぽい呼吸と潤んだ視線以外に何も返す気にならない。絞り取られた。そういうのがふさわしい。
四肢から力が抜け、手足が放り出されている。体に力が入らない。目が閉じてしまう。
しかし、獣はまだ貪欲だった。警戒してない隙を突いて、下半身に手を伸ばした。
卓哉はもはや上は裸。下の半ズボンを脱げば一糸纏わぬ姿になる。卓哉の足が持ち上げられる。
「…………ぅんっ?」
肩で息をしている卓哉が落ち着き、気付いたときには手後れであった。すばやく半ズボンがパンツごと取り払われる。
「あっ、ちょっ!」
慌てて足を閉じようとする。
しかし、抵抗むなしく足首をつかまれ、左右に大きく開かれた。
「わ、わぁぁぁぁぁ!!」
足は全開なものの、手で隠すべきところを隠そうとする。後ろと前を。
その時灰谷は笑って、
「ふふ、かーわいい…………」
と。
「お、お前に、可愛いなんて、言われる、覚えは………!!」
大開脚の姿勢ながら抗議の声をあげ隠そうとしたとき、ひっくり返された。まんぐり返しの体勢。
「わ、わ、おい、やめ」
この格好。抵抗する気は萎えてくる。胸と同様、手がどけられる。
「こ、これが女の……………」
「う、ぅぅぅぅ」
後ろの穴と、自分ですらろくに見てない前の穴を凝視されている。凄い近くで見ている。はぁはぁ、と息が叩き付けられる。
手で顔を隠す。何にもならないけど。
「いっそ、殺してくれぇ……」
恥ずかしさの余り、なんとなく口からもれる。でも……聞こえちゃいないみたいだ。
ふと、思い出した。そういえば、裸がみたいって話だった気がする。そうだ、それなら。
「な、なあ、もう、いい、だろ?」
まんぐり返しの姿勢のまま腰をくねらせ手で頭をぺちぺちと叩き、精いっぱいの愛想で言った。
…………それも、きこえちゃいないみたいだ。
卓哉の大事な部分を凝視したまま、ずっとはぁはぁ言っている。
「………………??」
押さえつける手の力が緩んでいる。今なら起き上がれそうだ。この体勢、早くやめたい。
足を横に投げだそうとしたその時。グリグリグリッ!!灰谷の顔のある股間から電流が走った。
「あうっ! あああああああっぁ!!」
大事なところに舌が押し付けられている。
あの突起のとこ。オシッコの穴。あと……膣口。
「うぁぁぁああああん!!」
凄い舌圧で嬲られる。
股が熱い。じんじん痺れる。その刺激に反射的に足を強く閉じてしまう。しかしそれは灰谷を迎え入れていることになる。
「うぁぁあああんんっん!!」さらに強く腿を閉じる。
灰谷が股に顔を埋め込んだまま横に倒れる。それでも突起と尿道と膣口を執拗に嬲り続ける。
「きゃふぅぅぅぅぅぅうううううっっうう!!」股に灰谷を迎え入れたまま腰をくねらせ、悶える。
そして、波が来た。
「あっ!? あっあぁあ!? あぁぁぁぁ!??」
本能的に。アソコを灰谷にぐいぐい押し付けて腰を艶めかしくくねらせ、手でも灰谷の頭を掴んでアソコに押し付けてる。
気持ちいい! 気持ちいい!
なにかを察知したのか灰谷も強く激しく嬲ってくる。ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり。
体の中の波はもっと激しくなってきている。腰の動きが激しくなる。灰谷の顔を窒息させそうなほど強く腿で締めてしまう。
きもちいい!! きもちいい!! きもちいい!! きもちいい!!
「ああああああああああああああああああああああんんんんんん!!!!」
「―――――――――――――――――!!!!!!!!!!」
白目を剥いて舌を突きだし痙攣する。ぐっと背をのけぞらせ、灰谷の顔に水飛沫を浴びせる。
数秒後。
「………………………………っっっっはぁ、っはぁっ、はぁっ、はぁっ」
息も絶え絶えに呼吸する。
頭が回らない。体に力が入らない。俺は何をして、何があったんだろう。とすら思う。
ただ波が全身を駆け巡っている。ふと目をやる。アイツは…………?
うつろな目で下を見る。
あいつは……………もう起き上がっている?まだなにかする気かなあ…………? もう、いい。
その時、足が持ち上げられる。
「……………………ぅんっ?」
もう、いいって…………。
しかし体に力が入らない。なすがまま。まだアソコとか見てるのか………?
仰向けにされ足を大きく開かされる。それでもこの脱力感が抵抗する気力を奪っていく。
「はぁっ………はぁっ………はぁっ………はぁっ…………はぁっ…………ううん?」
なにかがアソコにあてがわれた。何だろう? 熱い指のような…………? いや、もっと大きな………?
はた、と思う。アソコにあてがう熱くて太いもの………………????
脳が高速で回り始める。凄い嫌な予感。このままではいけない。
目をやり、確かめる。それははっきり見えた。
アソコに、灰谷が、ペ○スを、いれようとしている。
体に力が入る。火事場の馬鹿力とはこの事。身を翻した。
「だっっっ!!! そ、それだけは駄目だって!!」
四つんばいでベッドから這い出し逃げようとする。
しかし、灰谷は。
「今更何言ってるんだよ!ホラ!」
腰を両手でがしっと掴まれベッドに引き戻される。
いや、ベッドというより灰谷の腰に引き寄せられる。
「や、止め…」
腰をがっちり掴まれてるから逃げられない。手が、足が空回りする。
「力抜けよ………………んっ!」その合図で。
ミシッ。体の奥に響いた。
「っっっっっっっっっっっっっっぎっっっっっっっっっっっっ!!!!」
股が割られる。
痛い!! 痛い!!! 痛い!!!! 痛い!!!!!!
「んっ!!」
「うぐぅぅぅぅっっっっ!!!!!!!」
痛い! 熱い! 焼ける!
シーツをきつく、破れんばかりに握り締める。それで痛みは和らぐはずも無く。
「ぁぁぁぁぁぁ、これが女の……………………」
「ぬ、抜いてぇぇ……………」
やっと声を絞り出す。でも聞こえていない。灰谷はがむしゃらに腰を振った。ぺース配分も何も無い。
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパン!!!!
「ぅぅぅぅぅぅぅうううううううううう!!!!!!!!!!」
内臓をかき回されてるような。
「ああ、気持ちいい…………! 凄いよ………卓哉……………!!」
「いっっつっっあっ!!」
灰谷はなおも激しく腰を振る。初めての女体の味で心身共に高揚状態なのだろう。
そのストロークの速度は全くおとろえない。………卓哉にとっては苦痛以外の何者でもないが。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ!」
「ううああああああああぅぅぅぅぅ!!!」
痛みから逃れようと、前にずれる。でも。灰谷は卓哉の腰をつかみすぐに自分の所に引き戻す。
それでも痛みから逃げようと前にずれる。灰谷に腰を掴まれてるから引き戻される。
この繰り返し。逃げては引き戻され逃げては引き戻され。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ!!」
「うぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
この繰り返しが何時まで続くんだろうと思ったその時。
「うぁ!!」
灰谷が腰を卓哉の腰に思い切り叩き込んだ。
「いぎっ!!!」
その姿勢で押し付けたままプルプルと震えている。中だし、されている。随分長い間。
しかし、卓哉は中だしされた事よりも早く終わってくれた事が嬉しかった。
しばらくして灰谷がペニ○を抜く。するとピンク色の液体がどろりとこぼれる。
「(はぁ、これでやっと…………)」
股から精液をダラダラとだらしなく垂らしながら四つんばいのままベッドを降りようとする。
しかし。
またも腰を掴まれ、引き戻される。
「え?」
振り向く卓哉。
「俺、まだできるから。もうちょっとやらせてよ」
股間を見ると、全く衰える気配の無いような剛直が天を向いている。
「そ、そんな、もう無理……………」
「大丈夫だよ。たまに股間に力入れてくれればいいだけだから」
有無を言わさず今度は仰向けにひっくり返し、卓哉のばたばた暴れる足を大きく広げて………挿入した。
「ぐぅっっっ!!」
「ああああぁぁ…………最高だよ卓哉………………」
両足首をつかみ大開脚させて卓哉の腰をガンガン突き上げた。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
ズッズッズッ!
「う! う! う! う! う! あ! う! あ! あ!」
痛みは最初ほどではないものの、それでも脳髄まで痺れるような激痛が卓哉を襲う。掴んでいるシーツが痛々しい。
「はぁ、はぁ、ほ、ほら、もっと締めて!!」
そういって右手で乳首をグニ、とつねる。
「あああぅぅぅ!!」
反射的に締めてしまう。
「く! お、そうそう、その調子……すっごい気持ちいいよ………」
パンパンパンパン!!!
ズンズンと膣の奥が押し上げられる。
「うう、ああぅぅぅぅくううう!!!」
早く………終わって…!!
「あ、いきそ…………………くぅ!!」
ズン!また最奥で止める。そして射精。
「いっっっ!!!」
子宮を思い切り押し上げられた卓哉が悲鳴を上げる。
「ふっ……くっ………」
長い放出時間。
漸く終わったのか、抜く。今度はピンクじゃなく殆ど白の体液がこぼれてきた。
その様子を灰谷は大開脚させて喜んで見ていたが、足を閉じて恥じらおうにももはや倦怠感と脱力感しかない。
そして。
「さてもっかいやろう。」
「え………も、もう、無理……………」
「大丈夫だって。ほら、いくよー。……んっ」
「くぅうううう!!!」
その夜、少なくとも卓哉が覚えていたのは5回までですたとさ。
ちゃんちゃん。