くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ・・・
いつものようにいやらしい音が寝室に響く。
大学の授業が始まってからは、それまでのように毎日長い時間をセックスに割くことは出来なくなっていた。
それでも、一日たりとも休んだ日はなかった。
淫乱女子大生ゆっこは、どの男ともセックスしない日は、お姉ちゃんに「開発」され、
さらにお姉ちゃんの都合がつかない日には、夜中に一人出かけて、逆ナンしてでもセックスするようになっていた。
四月の下旬、もはや私は、お姉ちゃんに命令されたからセックスするのではなくて、自分から望んで快楽を積極的に求めていた。
それは、結局はお姉ちゃんがそう望んだ「淫乱女子大生ゆっこ」に私が順応している姿だった。
心なしか、初めて自分の生まれ変わった姿を鏡で見せられたあの日に比べて、体つきがいやらしくなった気がする。
どこがどう変わったか、と聞かれると答えられないのだが。
でも、お姉ちゃんに言わせると、そんなことはないらしい。
「はじめっから、今と同じだったよ」
この一ヶ月あまりの「エッチなゆっこ」の成長を、お姉ちゃんは認めてはくれなかった。
「まだまだよ。だって、ゆっことやった男は、みんな、ゆっこのおっぱいのさわり心地がいいとか、
感度がいいとか、言ってるけど、それはゆっこが生まれ持ったものだもん」
そういうわりには、お姉ちゃんは私のカラダを「開発」するばかりで、男を攻める方法など、何一つ教えてはくれなかった。
「あぁん・・・おねえちゃぁん・・・」
「ふふ。ゆっこは男の子なのに、おまんこいじられて感じるなんて、変態だね」
お姉ちゃんが、突然私のことを「男の子」、と言った。
私は驚いて、半開きの目でお姉ちゃんを見つめた。
「お姉ちゃん・・・それって・・・」
「あたしが気づいてないとでも思ってたの? ゆっこ、実は全然男の気分が抜けてないよね。自分が男だとまだ思ってるでしょう」
「そんな、そんなこと、ないよ・・・あっ・・・」
お姉ちゃんがエッチなゆっこのクリトリスを弄んで、快感を与え続ける。エッチなゆっこのココロはそれを悦ぶ。
でも、お姉ちゃんの言ったことは当たっていた。
本格的な女子大での生活が始まって二週間、私はまだ女としての日常生活に順応しているとは言いがたかった。
慣れる他にしょうがないようなことだが、男だったときよりも10センチ以上低い目線にも慣れなかった。
街が、建物が二倍くらい大きくなったように感じた。
ビル街を歩いたときには、自分がつぶされそうな感覚が私をおそった。
だから、私はヒールの高い靴を履くのが好きだった。
でも、いつもそんなに高いものを履くわけには行かない。それに当然動きにくくなる。足も痛くなる。
ただでさえ女になって足が遅くなった。
駅に向かって、急げば間に合うと思った電車が目の前を通り過ぎていくと、それは「自分が女になったせいで遅れた」と感じた。
買い物に行ったときに、トイレに入ろうとしたとき、並ばなければいけなかったりする。
それだって、男にはそんなにないことだ。
なにかの書類に自分のプロフィールを書くときに、名前でもなく、生年月日でもなく、
性別で「女」のところにしるしをつけるたび、私は自分が女であることにひどい違和感を感じていた。
女子大で女ばかりの世界にいると、自分がどうしてそこにいるのか、と答えの出ない問いかけをしてしまう。
大して仲良くもない知り合いに、妙に微笑みながら話しかけなければならない、女社会にも溶け込むのが難しかった。
もともと自分と同世代の女たちより、40代、50代と思しき教授や事務員たちを見るたびに、「自分と同じ男だ」と思って仲間意識を感じてしまう。
瞬間、自己嫌悪に陥る。
こんなことばかり繰り返しているのが昼間の淫乱女子大生ゆっこの生活だった。
淫乱女子大生であることが唯一のゆっこのアイデンティティといってもいいかもしれない。
セックスしているときか、それを意識しているときしか、自分が女であることを肯定的にとらえることは出来なかった。
朝、化粧をしているとき、今日着ていく服を選ぶとき、道をゆく男の視線を感じるとき、
そんなときは自分が女であることを悦びに感じたりもする、が、同時に強制的に意識させられるときでもある。
それに嫌悪を感じるようになってきているのも事実だった。
「あはぁん・・・きもちいい・・・」
ぬちょっ、ぬちょっ、とエッチなゆっこのおまんこが音を立てるのと同じリズムで喘ぐ私。
突然、お姉ちゃんが手を止めた。
「ちょっと、一体何を考えてるの?」」
なんか、突然怒られた。
「せっかく気持ちよくしてあげようとしてるのに、ぜんぜん集中してくれないのね。何を考えてるの? 言ってごらんなさいよ」
「ごめんなさい、おねえちゃん。ちゃんと集中する」
私は質問には答えずに「続けて」と哀願する。
「質問に答えなさい」
こうなったらお姉ちゃんは聞かない。
「ほぉら、早く言いなさい」
こんなときでも、私はお姉ちゃんに逆らえない。
意を決して、しかしいきなりズバリではなく、こう聞き返した。
「お姉ちゃん」
「なに?言わないと何もしてあげないよ」
「この前秋月先生のホテルに行ったときに・・・」
「はぁ? ちゃんと答えて」
「あのとき、あたしが戻りたかったら、男に戻してあげる、って言ったじゃない?」
この一言で、お姉ちゃんも私が何を言うか察したらしく、問い詰める言葉は返ってこなかった。
私は、ひるまないで続ける。
「あたし・・・はっきり言って・・・実は・・・男に戻りたい。もう、女の子は・・・いや。おねがい、男にもどして・・・」
お姉ちゃんは、目を見開いて驚いているようだった。
でも、数秒後、口元に笑みを浮かべて、
「あぁ、そのことかぁ・・・」
「おねがい。もう・・・耐えられないの」
次のお姉ちゃんの短い一言が私を絶望の底に突き落とした。
「ダメ」
ショックで力が抜けた。私も、一言で聞き返した。
「どうして・・・?」
お姉ちゃんは笑いながら答える。
「あれは、あの時だけ選ばせてあげたの。
あたしが勝手に女にしたんだから、もし、あなたが男に戻りたかったら戻してあげてもいい、って、先生とも相談してね」
「だったら、今からでも、戻して・・・」
お姉ちゃんの話に割って入った私に、人差し指を一本立てて、私の口元に持ってくる。
「だまって」という、命令だ。
「ゆっこは、そして女を選んだの。自分でね。エッチで淫乱なゆっこのほうを選んだの。
だから、それで決まり。もう、二度とあなたが男に戻るチャンスは来ないのよ」
「そんな・・・」
絶望感でいっぱいの私を抱きしめて、お姉ちゃんは中断した「開発」を再開する。
「くふぅん・・・」
絶望した私のおまんこから、快感が全身に伝わる。
この官能に身を任せることで、エッチなゆっこは、ずっと自分を守ってきた。
「はぁん・・・いぃ・・・」
絶望と快楽を同時に甘受しなければならない私のココロは、徐々に絶望を奥深くにしまいこみ、
外側から与えられる快楽だけを受け入れ始める。
「あぁん、あぁん、いっちゃうぅ・・・」
気持ちよくイカされてしまった。もう、絶望はどこかに行ってしまった。
「ほぁら、やっぱりエッチなゆっこ。男に戻りたいなんてバカなこと考えちゃダメよ」
私の反乱を快楽で制圧したお姉ちゃんは、なおも不満分子を一掃しにかかる。
「ちょっと、待ってなさい」
そういうととたとたと駆けて寝室を後にして、しばらくすると自分の部屋から何かを持って帰ってきた。
「この前、秋月先生のホテルに行ったときにね・・・」
さっき私が口にしたのとほとんど同じ言葉で、説明を始めた。
「セックスするためのゆっこのカラダに合う、特製のおもちゃをたくさんもらってきたの。あの人、結構エロオヤジね。
ま、それでもあの人とやった時の気持ちよさにかなうものはほとんどないらしいんだけど。
ゆっこが普通の開発で満足しなくなったら、すこしずつ使おうと思ってたんだけど・・・ちょっと今日のゆっこにはお仕置きが必要みたいだから」
と言って、20センチ四方くらいの箱を私の前に置いた。さっきまで座っていた自分の位置に戻って、こう言った。
「あけてみて」
袋を開けると、男性器をかたどったなにか、梱包材にくるまれて入っていた。それを手に取る。
「バイブ・・・?」
いや、何か違う。あっ、そうか。バイブほど大きくない。
だいたい、これはバイブとはちがって、勃起する前の状態の男性器を模して作ってあるんだ。
でも、バイブと同じようにもち手がついてて、スイッチもいくつかついてる。
「よく見て。何か思わない?」
何か、って、勃起していない男性器など、勃起したもの以上に見慣れている。
しかし、妙にリアルな質感だ。まるで本当のチンポを誰かから切り取ったみたい。
「わかんない?」
そういうと、お姉ちゃんはもち手のところについていたスイッチを押した。
むくむくっ、とだんだん大きくなるその、なにか。なんだか妙に懐かしい・・・これは・・・
「えっ・・・」
「気がついた?」
お姉ちゃんのその言葉で私は確信した。これは、男だったころの私のペニスを再現したもの。
「これって、あたしの・・・」
「そう、よくわかったわね。特製バイブレーター。ゆっこ専用」
私の手から、ゆっこ専用バイブを取り上げたお姉ちゃんが続ける。
「ほら、ここを押すと、普通に振動もするのよ」
ぶぅーーん、という音が聞こえる。確かに、私が男だったときのものにそっくりだ。
それが勃起した状態で振動している。
「こんな風にもね」
別のスイッチを入れると、ぐねぐねと亀頭の部分が回り始めた。
「今日はこれでお仕置きね」
そういうと、お姉ちゃんはゆっこ専用バイブを、エッチなゆっこの口に突っ込んだ。
「うぅ・・・」
自分のものだと分かっていても、口の中が気持ちよくなる。
エッチなゆっこの口には性感帯が植えつけられている。
条件反射で、ゆっこ専用バイブをなめまわすエッチで淫乱なゆっこ。
「ゆっこぉ・・・これがあなたのアソコについていたときは、幸せだった?」
「うぅん・・・はぁ・・・」
「ねぇ・・・どうだったの?
あたしとエッチすることも出来ず、せっかく出来た彼女もいつの間にかよその男にとられちゃった。それでも幸せだったの?」
「はぁん・・・あぁ・・・ん」
口の中に生まれる快感の種に私はすがる。お姉ちゃんの質問には答えない。
「ほぁら、やっぱりエッチなゆっこ。自分のチンポなのに気持ちよさそうにしゃぶっちゃってぇ」
すぼっ、と口からゆっこ専用バイブを抜かれた。
「ぷはぁ・・・」
息が荒れていた。お
姉ちゃんはゆっこ専用バイブを振動させたまま首筋から、
胸の谷間、おへそ、と女性器に向かって一直線に、ゆっくり移動する。
「ふふふ。もうすぐよ」
「あぁ、そんなぁ」
男として、こんな屈辱はない。自分のペニスと同じ形のバイブに犯される。
でも、もう、入ってくると思ったゆっこ専用バイブは、
お姉ちゃんの手によっておまんこの周りをなぞるように、刺激する。
何度も、おまんこの周りを周回する。
「じらさないでぇ・・・」
エッチなゆっこのココロは、あっさりと屈辱を受け入れる。快楽を求める。
「えっ、なぁに? まさか、自分のチンポとセックスしたいの?
いくら淫乱女子大生のゆっこだって、そこまでエッチじゃないよねぇ?」
私がこれ以上我慢できないのを知っていて、お姉ちゃんはエッチなゆっこを言葉で陵辱する。
「あぁん・・・いいの・・・私のチンポを、エッチなゆっこのおまんこ・・・いれてぇ・・・」
お姉ちゃんはその言葉を聞いても、まだ入れてくれない。
「このチンポ、入れられる方と、入れる方と、どっちがいい? どっちでいたいの?」
「あぁん・・・いれられるほう・・・エッチなゆっこは・・・入れられるほう・・・」
「じゃ、もう男に戻りたいなんて言わない?」
「あぁん、いいません。だから・・・はやく・・・」
「こんなに立派なチンポで、女の子とやりまくりたくないの?」
「あぁん・・・そんなことない・・・あたしは・・・エッチで・・・淫乱な・・・女の子だもん・・・」
「じゃあ仕方ないわね」
そこまで言って、ようやくゆっこ専用バイブが私のヴァギナを割って入ってくる。
エッチなゆっこのおまんこの中で、ゆっこ専用バイブは、ぐいんぐいん、と回り始めた。
「いゃぁ・・・気持ちいい・・・あたし・・・はぁああん」
あっけなくイカされてぐたっと倒れこむ私。
「エッチなゆっこ」
いつもベッドの上で私を呼ぶ言葉を一言つぶやくお姉ちゃん。私のココロの中に屈辱感がいっぱいにひろがった。
「ほら、みてごらん?」
お姉ちゃんが、私のおまんこの方を指差す。おまんこの中から・・・白い液体が流れ出ている。
「ゆっこ専用バイブはね。
ゆっこの中で、ゆっこがイっちゃうと同時に、こんなものまで出るように出来てるの。よく出来てるよねぇ」
そう言って、私の口にゆっこ専用バイブを突き刺す。スペルマのにおいと味が口中に広がった。
「さぁ、綺麗にしなさい」
言われるままに、ゆっこ専用バイブをなめまわす。そんなときでも、軽い快感を感じてしまう、エッチなゆっこの口。
「大丈夫。子供までは出来ないから」
笑いながらお姉ちゃんが言う。
自分が「エッチで淫乱なゆっこ」以外の何者でもないことを、
自分のペニスと同じ形をした、ゆっこ専用バイブに教え込まれてしまった。
「ゆっこぉ・・・」
お姉ちゃんがイった場仮の私を言葉でなぶり続ける。
「ゆっこはいまのほうが幸せでしょ? あんなブスとエッチするのにも一苦労だったんでしょう?
せっかくの一人暮らしも、エロビデオ見て、エロゲーやって、オナニーするだけ。
今はどう? 一体この一ヶ月で、何人の男と寝た?」
「お姉ちゃん。言わないで。やめて」
「男に戻りたい? 毎日オナニーの生活に戻るの?
あたしに、宏樹に、いろんな男に気持ちよくしてもらったことを思い出しながら、今みたく一日何回もこんなふうにするの?」
お姉ちゃんは、ゆっこ専用バイブを私の股間にもってきて、勃起した状態にして、
片手でこすり始めて、私の耳元に低い声でささやく。
「おう、おう、気持ちいいぜぇ。俺は男だ。男にもどれてよかった。
毎日こうやってオナニーできる。世の中の女には相手にされなくても、気持ちいいから問題ねぇ」
多かれ少なかれ、男だった頃の私にとっては図星をつかれて、言葉がない。
「あぁ、チンポがあれば幸せだ。おまんこなんて使えねぇ。
本当はおまんこの方が1億倍気持ちよかったけど、いまさらいえねえ。
こうやって女だったころの快楽を想像しながら、むなしいオナニーを毎日続けるしかねえのさ。
お姉ちゃんは、半分笑いながら、男だった私と、男に戻ろうとする私をバカにする。
「ゆっこ、あなたが言ってるのはこうなりたいってこと?
それとも、あたしに女の世話でもさせる気?
あたしが好きだけどやらせてもらえないから、他の女を連れてきてぇ、おねがいお姉ちゃぁん」
最後の方はゆっこのものまねだった。
その屈辱はもはや限界を超えていた。私の中で、ぷつんと何かが切れた。涙が流れる。
「どうしてなくの? エッチなゆっこちゃん」
優しい声で私を抱き寄せ、またも私の股間に手を這わせる、愛の手を払った。
「やめろ!」
突然のことにきょとんとする愛。
「もう、たくさんだ。俺は。男に戻る」
私はそう宣言して、裸のまま寝室を駆け出した。
自分の部屋に戻って、内側から部屋の鍵をかけた。追いかけてきた愛が、ドアを叩く。
「ゆっこ、ごめん、でてきてよ、ごめんって」
私は服を着て、大き目のバッグに、できる限りの服と下着をつめこんだ。
女の服をこれ以上着ているのは屈辱だったが、今日のところは仕方がない。
よく考えれば、こんなことをしても、秋月先生が男に戻してくれるわけではない。
でも、とにかく私は、耐え切れなかったのだ。
ドアをあけて、部屋の外にでる。
「あぁ、ゆっこ。ごめんね。お姉ちゃん・・・ゆっこ?」
「愛、世話になった。じゃあ」
私は精一杯の男口調でそう吐き捨てて、階段を駆け下り、玄関で靴を履いた。
「ゆっこ、まって」
愛はそういうと、私の手をとって、強引に抱きしめる。キスをする。
股間に手を伸ばす。快楽の種が刺激されて、私はまた屈してしまいそうになる。しかし、このときはちがった。
「やめろ!」
「きゃっ」
私は愛を力いっぱい突き飛ばした。
「あっ、ごめん」
吹き飛んだ愛は腰をついた。私は謝った自分を思いなおして、後ろを向いて走り始めようとする。
「まってよ、ゆっこ」
「俺はゆっこじゃない!」
私は愛の制止を振り払って、外へ出た。愛は追いかけてきたが、
道に出たところで、間一髪、タクシーに乗って逃げることができた。