太陽が昇り柔らかい日差しが部屋に差し込む、また今日の始まりを教えてくれる。
「ピピピッ、ピピピッ」
『う、う〜ん』
目覚ましの音に反応し少女は手探りで時計を探すとスイッチを叩いた。
(起きなきゃな・・でもねみぃ・・)
悠はあお向けのまま、一瞬目を開くが眠気からすぐまぶたが下がってきてしまった。そのままでいると気づかずに寝てしまった。
少したつと階段を駆け上りドタドタと音をたて廊下を走る音をさせたかと思うと、バンッと音と共に弟が入ってきた。
『悠姉ちゃ〜ん、お母さんが起きろってさ』
『すぅ・・・すぅ・・・』
晋也の声も届かぬほどまた深く眠ってしまった悠に反応は無い。
『起きてよ悠姉ちゃん〜・・・ぁ・・』
今度こそ起こそうとすると、寝ている悠の少しめくれたシャツから縦長のおへそと、きゅっとしまったウエストの白い肌が目に付いた。
そしてそこから視線をずらすと昨日気になってなかなか眠りにつけなかった二つの大きな桃に目がいく。
シャツがあるとはいえ充分に大きさの解かる乳房から視線が離せなくなってしまった。
『ゆ、悠姉ちゃん?』
『・・・すぅ・・』
もう一度声をかけ眠っているのを確認する。反応は無く静かな寝息だけが部屋に流れていた。
悠が呼吸をするたびに微かに揺れる胸が自分を呼んでいるように感じられる。
ごくりっと唾を飲み込むとそろそろと手を近づかせた。心臓はドキンドキン鳴っているのが自分にもわかる。
人差し指で軽く乳房を押してみると指の先にマシュマロに触れるような感触がした。
再び唾を飲み込むと片手を思い切り広げ片方の桃の上に乗せ軽く握ってみた、砂山を掴むように指がめり込んでいく。
(やわらかい・・・・)
気づかぬうちの股間が膨れ上がっていった。感触を楽しむようにニ、三度軽く揉むと、
『んっ・・うぅん・・・』
悠の口から声が漏れた、それに反応してとっさに手を離した。
ちょうどそのタイミングで押しても数分後にもう一度鳴る目覚まし時計がピピッ・・ピピッっと鳴った。
『う、う〜〜んねみぃな〜』
それに気づき悠は目を覚まし、晋也に気づいた。
『ん、起こしに来たのか?』
『う、うん、お母さんが起きなさいだって』
『わかった、すぐ行く』
まだ寝ぼけ半分で質問してきた悠にばれてないかドキドキしながら答えると部屋を出て一階に向かった。
しかし先程の感触がまだ忘れられなかった。
(悠姉ちゃんのおっぱい柔らかかったな・・・また触りたい・・・)
何故股間が膨れたのかわからなかったが、また触りたいという気持ちははっきりしていた。
出て行った晋也の背中を見送ると目を下に向けた。
『ふぅ、特に変わらずか……』
下を向けば嫌でも目に入る豊満な乳房が自分が今だに女だと自覚させる。
『はぁ、今日行けばやっと休みかーー』
仕方なく今日も1日女を頑張ろうと腕を伸ばしながらカレンダーを見ると明日の日にちは土曜日の列に並んでいる。
悠は目を擦りながら、のろのろと一階に降りて行く。
トイレに入ると男のときの癖で立ちながらモノを掴もうとしたが、手に当たるものは無く、ため息をはくと便器に座った。
『んっ・・・はぁ・・』
下半身に力を入れると溜まっていた水分が勢いよく飛び出す。
紙で股間を擦りつけトイレを済ませると顔を洗い髪をとかし台所に向かった。
『おはよう、今日は暑くなるみたいよ』
台所にはいって来た自分に気付くと母が声をかけた。
『おはよ、暑いのか、やだな〜今日体育あるのに』
明らかに不満な顔をする悠を母がなだめた。
『それより明日は洋服買いに行くから昼頃時間空けときなさいよ』
『買い物? 何買うの?』
『あんた女の子の服持って無いでしょ、それに下着とかも買わなきゃいけないし』
せっかくの休みを潰されるのを嫌がったが、無理に抵抗すればまた夕食抜きなどされては困ると、しぶしぶながら返事をした
『わかったよ、明日ね』
『晋也も明日は空けといてね』
『う、うん』
急に振られて焦る晋也を横目に朝食を食べ始めた。悠は気づいてなかったが晋也は先程を思い出しながら悠の胸はチラチラみていた。

食事を済ませ自室にもどると学校に行く支度をした。
服を脱ぎトランクスだけになると、体操着の上だけ着て昨日購入した女子の制服をまだ慣れない手つきでなんとか着た。
一瞬男子の制服にするか悩んだが不振な目で見られるのも嫌だと思い着るのをやめた。
体操着の下、短パンと母親が作った弁当を鞄に詰め込み服装の乱れを確認すると部屋をでた。
『いってきや〜す』
『ちょっと待ちなさい』
玄関で靴を履いていると台所から出てきた母が駆け寄ってきた。
『なに?』
『今日あんた体育なんでしょ、その髪じゃ邪魔になっちゃうから縛ってあげる』
後ろを向かせると髪を掴みゴソゴソしてきた。
『はい、いいわよ。ポニーテールにしてあげたわよ』
なんとなく髪が引っ張られている気がした、頭を振ると後ろでフリフリとまとまった感のある髪が揺れるのがわかった。
『あ、ありがとう、じゃあ行ってくるから』
『いってらっしゃい』
母の声を背中に受け、家をとびだした。

さすがに昨日の登校と違い朝方なのでバス停にはバスを待つ客が三、四人並んでいた。
その後ろに並び、眠たい顔をしているサラリーマン達を見ながら駅に向かった。
電車に乗り入口辺りに立つ。なかなかの混み具合のために奥には入れず扉の前に立つしかなかった。
電車の揺れにあわせ扉に胸が押し付けられる。
押し付け離れる度にぷにゅんぷにゅんつぶれる乳房を、いやらしそうな目で見ているサラリーマン風のオヤジが嫌になったが、
我慢するしかないと耐えていると、乗換駅で人の流れに合わせ奥に詰められた自分にぴったりとオヤジがくっついてきた。
ドアが締まるとオヤジと向き合い乳房をオヤジの胸に押し当てる体勢になってしまった。
離れようと身体をひねるが人が多くあまり動けずかえって乳房をこすりつける事になってしまった。
(くそっ!なんとか離れられないかな)
しばしの間そんな事を繰り返し苦い顔をして悩んでいるとオヤジが顔を寄せてきて耳元で呟いた。
『お嬢ちゃん、おっぱい大きいね〜とっても柔らかくて気持ちいいよ』
車内の揺れに合わせて身体を擦り付けてくる。ギロリと睨みつけたが、気にする事なくにやにやと笑っていた。
何度睨んでも離れようとしないオヤジに頭にきて文句を言おうと口を開きかけた時電車が停まりドアが開いた。
それにあわせるようにそそくさと逃げてしまった。
(くそ〜むかつく!むかつくむかつくむかつく)
行き場の無い怒りが込み上げて来る。
(あの野郎、次会ったら覚えとけよ!)
心の中で拳を握りしめ通り過ぎようとする駅を睨んだ。その気迫に周りが反応したのか、その後は特に何も無く学校に到着した。

『おい、なんで女子がこっちの校舎にいるんだ?』
『ああ、あれが噂の女になった・・・』
下駄箱や廊下でこちらを見てひそひそと会話するものがいた。友達づてに聞いたのか自分の噂が少々広まったらしい。
多少の騒ぎはしかたがないと無視をしていたが、教室に入ると無視出来ない騒ぎが興った。
『悠が来たぞ〜制服だよ!』『胸でけぇ!!』『やべっ、かわいい!』
制服姿を一目見ようとワラワラと寄って来る、囲まれて進む道が無くなってしまい立ち止まるしか無かった。
『お前ら、どけ!うちの制服なんか登校中見てるだろ!』
校舎は違うといえ駅から校門までは女子も一緒の道のりなのだから見るのは当然なのだが、誰ひとり離れようとする者はいない。
『こんなスタイルが良くて可愛い子なんかめったに見た事ねーよ。文句良いつつも自分だってリボンなんかしちゃって可愛くなろうとしてんじゃん!』
『は?リボン?』
連中に言われて髪を縛ってるあたりをふれてみると布切れのような感触があった。
(まさか・・・)
嫌な予感がして鏡を取り出し覗いてみる。そこには黄色のリボンをしたポニーテールの女の子が写し出された。
リボンの尻尾がひらついて悠の可愛さが増していた。
(母さん・・ゴムじゃなくてリボンで縛ったのか・・・)
てっきり髪を束ねるだけなのだからゴムひもか何かでしばっていると思っていたが実際は女の子に似合いそうなリボンであった。母の行動にがっくりとしょげて いる悠に構わずクラスメイトはジロジロ全身を見てくる。
『しかしまじ、可愛いな〜』『こんな子と一緒のクラスなんて最高だぜ』
そんな声にまじり、一人の男子が手を延ばした。
『下はどうなってんだ?』
ひらりとスカートが持ち上がりトランクスがあらわになる。
『うわっ』
驚いてとっさにスカートを押さえるが皆には見えてしまった。
『なんだよ〜最悪、どうせならパンティ穿いてこいよ!』
『馬鹿野郎!穿くわけないだろ!次スカートめくりなんかしたらただじゃおかねえからな!!』
ブーブー文句を言う奴らに怒鳴り付けた。まったく人の話を聞かない奴らの中から一人が皆をせいした。
『まあまあ、みんなよく聞け。こんな事もあるだろうと予想した俺様がいいものを持って来た!』
悠を含めて皆が注目する、それを確認するとポケットから取り出したものを悠の前に差し出した。
『じゃーん!昔、うちの姉貴が穿いていたパンティくすねてきたから、これを穿け!』
こいつのありえない行動に唖然とする自分をよそに周りは盛り上がる。
『おおーー勇者だ!』『いよっ、下着を持ち歩く変態!』『悠、さっさと穿け〜』
『だ、誰が穿くかーーー!!』
『いいから席につけ〜』
悠の怒鳴り声のすぐ後に教卓にいる先生が盛り上がる皆に冷静に声をかけた。いつの間にかチャイムが鳴り担任が来ていた。
それに気付くと蜘蛛の子のように散り席についた。
『じゃあホームルーム始めるぞ』
皆が座るのを確認すると朝のホームルームを始めた。
いつも通りの報告を終えるとホームルームのラストに担任が先程の話題を持ち出した。
『さっきは皆で何やってたんだ? 朝から騒がしかったが』
その言葉待ってましたの如く先程のパンティ持って来た男が手を上げた。
『橘が女性の下着を穿かないなんてわがまま言っているんですよ』
『は、穿くわけないだろ!』
先生の目がこちらを向くのに反応して頬を微かに紅く染めながら否定するが、周りから不満の声が漏れる。
『先生、女性なんだから制服だけでなく下着も変えた方がいいですね?』
先生の返答に注目が集まる、すると少し考え始めた。
『・・う〜ん、特にそんなことは無いだろうが、衛生的や身体の為にはやはり女性は女性用のを着用した方がいいんじゃないか? 橘?』
『は、はぁ・・・わかりました』
何故か自分一人わがままを言っていることになり、それを説得するかのように言葉をこちらに振られつい相槌をうってしまった。
するとあちらこちらで歓声があがる。先生が出ていくと強制的に下着を握らされた、もはや逃れられぬ状況にいたった。
『もう捨てるもんだから下着はお前にやるから心配するな』『穿ーけ、はーけ』
完全に一人孤立状態になってしまい、助けてくれるものもいない。


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