ジリリリリッ!!
目覚まし時計が1ルームマンションの一室に響く。
ここの部屋の住居人の名前は 工藤勇。
年は二十歳で、今はファミレスのバイトをしている・・・いわゆるフリーターだ。
いつものように勇はのそのそと布団から手を伸ばし、ガチャン!と音を鳴らして目覚まし時計を止めた。
「ふわぁ・・・昨日の目覚まし解除すんの忘れてたか・・・まだ7時じゃん」
勇はふと、自分の声がやたら高いのに気が付いた。
「なんだ・・・風邪か? ・・あーあー・・・」
だが、勇の声は高いままだった。
「あとで薬でも飲むか・・・っと、トイレトイレ・・・」
勇は布団から出て立ち上がり、ゆっくりとトイレに歩いて行く。
気のせいか、いつもより部屋の天井が遠く見えた。
ドアを開け、パジャマとトランクスを一緒に下ろす。
「あ・・・れ・・・つか・・めない・・・?」
勇は股間に両手を当てて性器を探したが、一向に見つからなかった。
「ちっ・・・どうなってんだよ・・・え?」
勇は股間に目をやり、言葉を失う。
股間には、朝になればいつも猛々しくなっている男性器が付いていなかったのだ。
そして股に手をやると、何やら肉のヒダのような感触が伝わってきた。
「えっ・・・ウソ・・・だろ? ・・・まさか!?」
勇はトイレを飛び出して、洗面所の全身鏡に目をやった。
勇の目の前には、ブカブカのパジャマを着る、綺麗というよりは可愛いという感じの女性が立っていた。
「えぇっ・・・えええええーーーっ!!?」
勇は焦りながらパジャマを上下共脱ぎだした。
パジャマを脱ぐと、鏡にはBカップくらいのツンと上向いた胸と、
女性特有の柔らかい脂肪のついた体が艶めかしく映っていた。
下腹部に目をやると、うっすらとしたヘアが女性器を隠している。
「お・・女だ・・・女になったのか、俺!?」
男言葉を使うその声も、今はただ可愛いとしか言えない声域だ。
そう、勇は完全に「女」になってしまったのだった・・・。
パジャマを着直し、布団に戻った勇は数分間茫然としていた。
(女・・・なんで女になったんだ? ・・・俺、昨日に何か変なモンでも食ったか?
それとも変な薬でも飲んだか?さっぱり分からねぇ・・・)
だが、いくら考えても思い当たる事は無かった。
それが勇を益々混乱させる。
(・・・そ、そうだ・・・とりあえず美香に来てもらおう!!)
美香というのは勇の彼女だ。
彼女も二十歳で、若者向け婦人服店の見習い社員だ。
二人はかれこれ1年以上付き合った仲だ。
勇は早速携帯に手をやり、美香の番号に電話をかけようとする。
だが、気付いたように通話ボタンを押す手を止めた。
(待てよ・・女声で呼んでも、浮気相手だと勘違いされるだけだな・・・それはマズイ。
・・・よし、メールで呼ぼう!!)
【朝早くにスマン。頼む、緊急事態なんだ! すぐ来てくれ!!】
メールにこう書き、美香に打つ。
(おそらく今日、美香は休みの日だから・・・来てくれるはず!)
勇はそう期待しながら掛け布団をかぶる。
できる事ならこの体はあまり見たくはなかった・・・。
食器棚のガラスや電源の消えたテレビの画面に映った姿でさえも。
この艶めかしい女の姿を・・・。
1時間くらいだろうか、美香が勇の部屋にやって来た。
「勇、いるの〜?」
勇は布団の中で携帯を持ち、美香にメールを送る。
【いる。鍵は開いてるから入って来て】
数秒後、ガチャッという音と共に美香が部屋に入って来た。
美香は布団にうずくまった勇を見て言う。
「もう・・・何なのよ勇!心配したんだよぉ!?」
美香がそう言うと、勇の布団がモゾモゾと動き出す。
すると、一枚のメモが布団の中から出てきた。
【ごめんな、美香。俺も信じられないような事が起こって戸惑ってるんだ。
これからその事を話すけど・・・逃げずに・・・驚かずに聞いて欲しい】
メモを見て、美香が声を荒くする。
「な、なんなのよ!?信じられない事って!?
あたしは逃げも驚きもしないから、早く布団から出てきてよっ!!」
勇は覚悟を決め、ゆっくりと布団から立ち上がった。
160前半くらいの背のショートカットの女性が立ち上がり、くるりと美香の方を向く。
「美香ぁ・・・俺、女になっちゃったよ・・・」
可愛い声がそっと呟く。
美香は目を丸くして茫然としていた。
すると、腰を抜かしたのか、ペタリと床にへたれ込んでしまった。
何分間か・・・勇は美香に説明をした。
まあ説明と言っても、勇にも真相や原因などはさっぱりなのだが・・・。
取り敢えずできる事は、自分は工藤勇だという事を証明する事だった。
「・・・はぁ・・・びっくりしちゃったよ・・・女になるなんてさぁ」
「ゴメン・・・でも、俺だってびっくりしてどうしたらいいか分からないんだ・・・」
勇が悲しそうな顔をして下を向く。
「・・・ま、いいかぁ!明日になれば戻ってるかもしれないし!」
美香は笑顔であっけらかんに叫んだ。
「明日になればって・・・楽観的だなぁ・・・お前」
「そう?・・でも何も思い当たる事が無いんじゃどうしようもないじゃん」
確かに美香の言う事はもっともだ。
勇に思い当たる事が無ければ、何も手の打ちようが無い。
「・・・それにしてもさぁ・・・女になった勇の顔、滅茶苦茶可愛いね〜!」
美香が勇のほっぺたを掴み、「にゅーっ」と言いながら横にのばした。
「お、おい・・・やめろよ・・・」
勇が美香の手を離させる。
「ホントに可愛いのにぃ〜・・・ね、コレ見てみて」
そう言うと、美香は棚に置いてあった手鏡を持ってきて、俺の顔の前に置いた。
「二重で目も大きいし・・・しかもちょっとタレ目なのが男心をくすぐりそうだよね〜。
あと鼻もそんなに高くないのも可愛い〜」
美香があんまり褒めるので、勇はそっと手鏡を覗いてみた。
「・・・ほんとだ・・・」
勇は自分の顔を見て、惚れ惚れとしてしまった。
確かに勇の顔は可愛かった。
この顔で上目遣いに誘われたら、浮気はしないと決めている勇でも襲ってしまうだろう。
それくらい勇の顔は可愛かった・・・むしろ可愛すぎた。
「ねえ、下着とか服はどうする? まさか今家にある服なんて着れないでしょ?
今からあたしが店の売れ残った服いくらか持って来てあげるよ!
下着もいくらか買ってきてあげるし! ね、それでいいでしょ?」
「あ、ああ・・頼む。それにしても・・・美香、お前なんか楽しんでないか?」
勇がそう言うと、美香は「えへっ」と作り笑いをしながら部屋を出て行った。
「はぁ・・・」
勇が大きなため息をついた。
一体これからどうなるのか・・・このままずっと女のままなんじゃ・・・?
そんな不安が勇を悩ませる・・・。
(・・・やる事無いし・・・オナニーでもしよ・・・)
そう思い、勇はティッシュを取り、股間に手を持っていくが、自分には男性器が無い事に気付く。
「ちぇっ・・・」
残念そうに手を股間から離す勇に、一つの欲望が生まれた。
(・・・女でも・・・オナニーできる・・よな?)
勇はその欲望を押し殺そうとする。
だが勇の体は勇の思いに反し、まずは胸に手がのびていく。
ぎゅっと胸を握ってみた。
「はぁっ・・」
いやらしい吐息が漏れる。
(こんな声が俺の口から・・・・)
さらに勇の手は勇の胸を揉み続ける。
「はぁっ・・・あっ・・・」
段々と乳首が固くなっていくのが分かった。
もう片方の手で乳首を親指と人差し指で摘んでみる。
「んうっ・・・・あんっ」
(なんか・・・声が出ちまう・・・俺は男だぞ・・・こんな事で・・・)
だが、勇の欲望は勇の体の自由を奪い、勇の乳首を刺激し続ける。
「はぁ・・はぁ・・んっ・・・ひ・・・あぁっ」
(だめだ・・だめだって俺!こんな事したら・・・)
だが、勇の右手はゆっくりと勇の下半身へ向かって行く・・・。