「さあって♪ お披露目しましょうねえ」
体全体を覆うローブを剥ぎ取り、そのまま上着の前をはだけさせられる。
感心するほどの手際のよさだった。
「へぇ。パッと見た感じセクシーなのに、下着は地味なんだなあ」
「う、うるさい!ほっとけ!」
だいたい下着なぞにこだわってどうする。男はいちいちそんなことはしない。少なくともマーヤはそうだ。
「さぁいよいよって、ん? 意外だな。ノーブラか」
ふとマーヤが不思議顔をする。なんとなく探究心がくすぐられたような。
「ノーブラ? なんだそれは。」
「ブラジャーつけてないってことだよ」
「ブラ…なんなのだ?」
うまく発音できない。異界の言葉を事前に調べた時に見逃してしまったようだ。
「ノーブラだよ、ノーブラ。要するに胸が揺れたりするのを防止する、なんてぇんだろ、補正?補強?」
「ああ、そういうものならもちろんある。だが使ってはいない。苦しいからな」
「苦しいっていったってさ、邪魔になるでしょ? 動くとき」
「何か激しい運動するときにだけは魔法で補強しているな」
「運動するときだけ? でもこれだけでかいと何かと腕に当たったりしてうっとうしくないの、女からすればさ?」
「いや、そんなことはないぞ。女の乳房の感触は私はとても気に入って……!?」
一気にマーヤが顔を紅潮させる。つい素直に言い過ぎてしまった。知識欲のせいで自分の置かれる現状を失念してしまった。
「ば、ばかもの! 何をいわせる!」
「ちょ、ちょっと待てって。それって自爆?」
「うるさい!」
怒られてはいるものの、雄介がそんなことで遠慮するはずがない。むしろ面白くて仕方ないという顔をしている。
「まぁまぁそう怒るなよ。ほれほれ、生の乳を揉んでやる」
ゾク……
「んん!」
掴まれただけで電気が走った。怒鳴ることも忘れて全身の衝撃がおさまるのを待つ。
「おうおう、感度のいいことで」
ムニュ、ムニュ
「はぁ、くっ、ん、んはぁ…」
餅のようにこねまわされて、それだけで頭がぐるぐるを回ってきた。
服の上よりも雄介の指が強く感じられ、どれだけ自分の乳肉が掴まれ握り締められているかが感覚だけでわかる。
乳首を吸われた。
「はぁぁぁ!」
無意識に背筋をそらせてしまう。心地よく川の流れに乗っている目の前に急に滝が現れた。
その反応が面白かったのか、雄介は重点的にポイントを攻める。
「ん!あ、ああああ!くふっ!ん!これ、む、胸…かはっ!胸、やめ…!」
(!!!!!!!!!!………!?)
ひときわ背をのけぞらせる。
一気に滝つぼに落ちてしまったような感覚。
やがてゆっくりと浮上するように落ち着きが戻った。
「イッた? 胸だけでイッちゃったのかよ」
「はぁはぁ。イッた……はぁ…だと。ふん、バカな」
いまだ荒い呼吸のあいまになんとか否定の弁を放つ。
「なにいってんだよ。いまのは明らかにイッてただろ」
「そ、それは……」
正直なところわからない。まるで未知の体験なのだから。
「…し、知るか…」
そっぽを向いてやる。
女のイクとは加速するように滑り落ちる感じらしい。これが男のようにデジタルな感覚ならばわかりやすい。
しかし今感じたものはそれとはまったく異なる。
先に襲った津波のような感覚をイクというのだろうか。もしそれが「イク」というのだとすれば。
(女の絶頂、というのもそう男の射精と変わらないものだな…)
男と女の快楽の差、これはスレの住人なら誰しも気になるところであろう。
マーヤは男であったときからこの命題には興味があった。いやらしい気持ちは一切ない。
ただ心理学的な側面から一考の余地はあると認識はしていた。
男女の交わりの時あられもなく声を上げる女性をみて、そんな疑問を浮かべることもそうおかしなものではないだろう。
さて、ふたたび天才魔法士が知識欲の権化になっているあいだに、
「わ! わわわわわ! な、なにをする!貴様!」
下半身が下着一枚になっていた。
一切の無駄毛のない、女性特有のふっくらしたふとももが外気にさらされる。
女体の神秘をそっと包み隠すのは純白だ。ほんの少しふっくらと起伏を生む場所が白に濃淡と魅惑を添える。
マーヤが気づいたときにはすでに両脚の間に雄介が陣取っていた。
「し、しかもお前まで…」
「もちろん! お手間はとらせません!」
すっかりトランクス一枚姿だった。
マーヤの悩ましすぎる身体を覆いかぶさるように目でなめまわす。
「あらら。下半身は女の子っぽい下着なんだなあ」
「い、いちいち人の下着を批評するな!」
いくら心が男はいえ、まさかトランクスを履くわけにはいくまい。さすがにそれくらいは妥協した。
無理矢理ブリーフを着用してみたが、所詮女が履くようにできているはずもない。
そもそも局部の体積をある程度考慮したつくりなので、顕示力を激減させた股間にはゆとりがありすぎた。
男用のビキニパンツというのもあるが……自らのことながら気が萎えた。
「さて、これも邪魔だなあ」
「待て!」
ムニュウ
「んはっ!」
最後の砦を守ろうと身を起こした瞬間、伸びてきた手に乳房を握られた。
「だめだめ。いまさら抵抗することもないだろ」
先ほどの絶頂で熱くなっていた女の頂きから身も心も震えてしまった。
思わず漏れた声と油断でそのまま簡単に上半身を倒される。
「ほら」
グリグリ
下着の上から股間を指でつつかれた。
いままで全身の快楽が収束してきた部位から今度はすべてが逆流する。
(んん……!)
鋭い感覚に顔をしかめた。想像以上の刺激。だが耐えられない範囲ではない。
ふん、声などあげてやるものか。
「おお。耐えるねえ。ほれほれ」
指を上下にすり始める。割れ目に沿うようにソフトなタッチで。
(ん……くっ…!!)
マーヤは身体を悩ましげによじりながらも耐え切った。
「じゃぁ、ここは」
少し上にある小さな突起に触れてきた。そこをクリクリっと突付かれる。
「くは! がっ! んん…な、なんだ!?」
とても声を我慢できるものではなかった。「イッ」てしまったのかと錯覚したほどだ。
幸いにもそこまでにはいたらなかったが。
「へへえ、さすがにここはダメみたいだなあ」
予想通りのリアクションなのだろう。言葉に満悦の含みがある。
雄介の腕にすがるように静止を求めるが、単純に力の差でかなわない。
「へへえ、ではない! あああああ! そこはやめろ!…ひっ…ずるいぞ!」
どうしようもできない刺激。女の…自分。
「ずるいってなんだよ。ほんと負けず嫌い…」
「……だまれ」
「はいはい」
すると今度はいきなり下着の横から指を差し入れてきた。
まるで何かの虫のように狭い隙間にもぐりこむと湿り気のある地帯に接触する。
突然生じた直接接触はマーヤは相当の衝撃を与えた。
「おま、お前!いきなり!ひっ!」
指だけ別の虫みたいな動きをする。この場合、「水」を得た魚か。
「水」を求めるように「魚」が中央を目指した。そこからはすでにこんこんと「水」が沸き出始めていた。
そこにもぐりこんでしまうようなことはしなかったが、淵を彩る花びらを少し撫でるだけで絶えず「水」は沸き出でた。
下着をつけたまま、股間の横からもぐりこまれるなんて…なんだか犯されている気さえしてくる。
そんな女みたいな痴態をさらすのはごめんだ。
「すっかりぬれてるよなあ」
「……」
雄介の恥ずかしいセリフを否定することができない。沈黙が肯定を意味するというのに。
また…こんな…女みたいなこと…。
「お、今度はいちいち抵抗しないな。自分の身体は認めたほうがいいぜ」
「くっ、いちいちお前に言われなくても…わかってる…」
実を言えば、雄介に胸をいいようにされていたときから股間には湿り気を感じていた。
女が快楽を得ているとそのようなことが起きることはわかっている。
雄介に下着を見られればすぐに悟られてしまうだろう。
だから下半身に手をかけられた場合のことが気が気でならなかった。もっとも気づかないうちに脱がされていたが。
「女は……こういうものなんだ」
「いや、俺もさっきからヌレヌレでね」
ボロンと雄介がイチモツを公開する。先走りでいやらしく光る怒張が蛇のように鎌首を上げた。
「あ…ああ」
なぜだろう。目が…目が…離せない…。
以前の自分で見慣れたはずのもの。男の象徴的部位。すべてを知り尽くしている性感帯。
それが今眼前にある。いまさら凝視するほど興味のあるものでもない。
ならば…ならばなぜこんなにも注意をひきつけるんだろう。
(どうしようもない…)
マーヤはただそれだけをイメージした。
あんな猛り狂った肉棒を前に、受け入れるしか使い道のない自分の股ぐらの抵抗など蚊が鳴くようなものだ。
「さてと、じゃぁ本番といきますか」
雄介の手が最後の砦を崩しにかかる。
(もうだめだ…)
人目見ただけで理解できた。これが今の自分なのだ、と。
ぎゅっと目を閉じて全身の力を脱する。一切の動きを止めた身体の中で天を向いて大きな乳房だけがぷるんと揺れた。
羨望の代名詞である異界の使者は、その人生においてかつてない無力をかんじた。
なんだか…涙がこぼれそうになった…。
「…おいおい。そんな顔やめてくれよ」
下着を脱がしかけた雄介が作業を止めた。
「なんだかさ、俺がレイプ犯罪者みたいだ…。すまん、ちょっと落ち着くわ、俺」
マーヤの脚の間でちょこんと正座する。
「別に強姦じゃないんだからさ。最後の一歩くらいはお前自身に任せるよ」
「私…」
「そう、ようするに本当に最後までする気なら自分でパンツを脱いでくれってこと」
「え…ええ!?」
あまりの恥ずかしいリクエストに耳を疑う。
「じ、自分でだと!?」
確かに雄介のいうことは正論かもしれない。マーヤの意思が十分尊重されているので文句もない。
しかし、自ら脱ぐということは…何を意味するのか明らかだ。
「くっ!そ、そうだな。そ、それくらい自分でや、やってやる」
まさかやめるわけにもいかない。これは試されているのだ。覚悟を。
自分の下着にそっと指を通した。女性のふっくらした下半身は自分の身体ながら魅力的だ。
(………)
軽く深呼吸して一気に脱ごうとした瞬間、視界の角から雄介のペニスがあらわれた。
びくっと動きにセーブがかかる。
これを脱ぐということは、あれを…その、受け入れる、ということだ。
あんな大きなものを自らの股間に挿入するということだ。女を決定づけるかのように自らのヴァギナに……。
指でいじられただけであれほどの感覚が得られた。あれほどの太さが進入すればさぞかし気持ちがよかろう。
だが、やはり。
(怖い…)
怖いものは怖い。どうしようもない心理だ。
雄介は突然動きがとまり、自分の股間を凝視するマーヤをみて心情を悟った。
「大丈夫。乱暴になんてしねえよ」
あおむけのマーヤの両肩にそっと手を差し伸べ、真上からまっすぐに目をのぞきこんでくる。
そっと…身体を密着させてきた。そのまま熱を放つ肉槍を下着越しにやさしくマーヤの秘部に重ねた。
巨大なはんだごてを押し付けられている感じがしたが、不思議と恐怖が和らいでくる。
チュゥっと雄介が乳首を口に含んだ、同時のもう片方の乳房を手に含む。
「安心しろって」
なぜだろう。雄介なら本当に大丈夫だという気がしてくる。
あんまりまじめに見つめてきたからそう信じるしかないという気さえしてきた。あの目は本音を語るときの目だ。
そして、なんだか不思議なことが続くように素直に秘部をさらすことができた。
雄介は身体を離し、挿入しやすい角度を準備する。
「じゃ、いくぜ」
直径も巨大な鈴がすべてをさらした局部にそえられる。
「う、うん…」
挿入(い)れられるんだ…
マーヤは自らの結合予定部分から目を離すことはしなかった。もともと注射の時には針から目をそらさない性格ということもある。
「ゆっくりいれるからな。痛いだろうし」
「その点は問題ない。痛覚を遮断する魔法処置をしている」
「便利なもんだね…。そら」
ぐにゅっ!
一瞬股間が棒で押し込まれる感触。次いですぐに訪れる軽い侵入感。
爆発的な快楽がマーヤを襲った。
「んん! ひぃぃぃあああ!!!」