西暦20XX年。
地球上に生まれた新人類“ノウブル”たちは旧人類の上に君臨した。
世界人口の0.01%に満たないノウブルたちが、残りの人間たちを支配したのである。
0.01%というと10万人の町に10人のノーブルがいるという事になる。
つまり市会議員並みの数だ。
万能なノーブルは一般人に何をしてもいい事になっている。
そもそも一般人はノーブルに逆らうことなど不可能だからだ。
無から有を生み出すノーブルは、生活の為に働く必要はない。
彼らはその有り余る時間を、一般人の虐待に費やすのである。
彼らにとって一般人など、家畜や虫けらに過ぎない。
虫けら共が自らの能力に悲鳴を上げる様子を楽しむのである。
ノーブル同士の秩序は、その能力の差で明確に保たれている。
では能力の差は何で示されるのかといえば
それが一般人の虐待方法なのである。
力を持たないノーブルは単純な肉体的苦痛や死を与えることしか出来ないのだが
より万能なノーブルは、想像も出来ないほどの手段を持って
優雅に虐待を与え続けることが出来るのである。
彼らは、たまたま目にした獲物を 自らの能力の限りを尽くして
虐待を行い、それを互いに競い合うのである。
◇◆◇
譲二はヤクザだった。
恰幅の良い体格に、一目でそれと分かる服装、凶悪な人相からも危険人物を匂わせるオーラを発していた。
彼の目の前で優雅にソファーに腰掛けている細面の男はそれを全く意に介していない様だった。
「それで、私の協力が欲しいと」
彫像のよう細く長身で美しい、スポーツや格闘技など縁のないような体型端正な顔立ち、
修羅場など全く経験したことも無いような優しい表情の男は
目の前のヤクザに怯える様子も無く、涼しげに紅茶を口に運んだ。
「先生、お願いします。先生のお名前をお借りするだけで結構なんです」
譲二はデカイ図体を乗り出し、テーブルに額をこすりつける。
怯えているのは譲二の方だった。
「暇つぶしにはなるだろう。それで私に見返りはあるのかね?」
カップをテーブルに戻しながら男は言った。
「うちの店からの、選りすぐり女を用意します」
西暦20XX年。
地球上に生まれた新人類“ノウブル”たちは旧人類の上に君臨した。
世界人口の0.01%に満たないノウブルたちが、残りの人間たちを支配したのである。
万能なノウブルに旧人類達は抵抗する術は皆無であった。
絶対君主であるノウブルの気まぐれや、遊びは、旧人類達にとって脅威だったのである。
たまたまノウブルに目をつけられ、彼らの居城に連れ去られた哀れな犠牲者達はその後どうなったか知るものはいない。
旧人類にとって脅威のノウブルに、自ら進んで近づくものなど皆無だったのである。
譲二は人を組織する事が上手であった、巧みに人材を集め、
人間関係を利用して、味方を作り、自らの組織を大きく纏め上げていった。
組織が大きくなると、譲二は勝負に出た。
ノウブルを味方に出来れば、日本中の非合法組織どころか、政府とも渡り合えると考えたのである。
男は譲二の連れてきた女達を軽く一瞥する。
女達は逃げられぬように、小さな猛獣用の牢屋に押し込められていた。
ノウブルのところに連れてこられた者の運命を知る女達は小さな牢屋の中で錯乱し、悲鳴や泣き声を上げ、命乞いをする。
男は、うんざりした表情で譲二のほうに顔を向けると、
「この手の人間は、飽きた」
あっさりと言い放った。
「失礼しました。お気に召さないのであれば、代わりはいくらでも用意します」
譲二は冷や汗の垂れる顔面を深々と下げた。
「いや、代わりはいい」
男は譲二を制するように手を差し出した。
「私は君に興味を持った」
譲二は震えが止まらなかった。
「そうそう、ヤクザは失敗をしたときは指をつめるんだったよね」
男は譲二の目の前に掌を差し出した。
ノウブルは無から有を作る。男の掌の上にボンヤリとした影が現れるとそれはドスになった。
「やって見せてくれないか?」
譲二の震える手が、男の掌の上のドスを握り締める。
譲二は握り締めた刃物を男に向けるべきか悩んだ。
冷や汗が背中を流れる。自責の念に涙を流す。
男は、譲二の心の奥を読み取るように、汗と涙でぐしゃぐしゃになった譲二の顔をじっと覗き込んでいた。
キラリと反射する刃物を目の前にかざす。小指をテーブルに置いて刃物を押し当てる。一息に下ろした。
譲二は固く目を閉じて、歯を食いしばって耐える。
それは一瞬の出来事でだった。
指が切断される一瞬の痛みの後に、握り締めたドスが消え
そして切断されたはずの指の感覚が元に戻ったのだ。
譲二はそっと目を開けると、そこには何事も無い指と、テーブルの上の血まみれの小指があった。
譲二は何事も無い自分の指と、テーブルの上の小指を驚愕の表情で代わる代わる眺めていた。
「おい」
男が指を鳴らすと、数名のボンテージ姿の女性が部屋に入ってきた。
「新しい客人だ。私の屋敷にふさわしい姿にしてやってくれ。仕上げは私がやる」
男はゆっくりとソファーから立ち上がると、部屋を後にした。
部屋に残された譲二は、男が呼んだ女性達を嘗め回すように眺めた。
主のサディスティックな趣味がはっきりと分かる姿の女性達だった。
「こちらへどうぞ」
女性が譲二を手招きする。コツンコツンと固いヒールの音を響かせて彼女達は譲二をベッドルームに案内した。
全面鏡張りの部屋の中央に豪華な家具調のベッド、天井のシャンデリアの照明が入ると、明かりが反射して幻想的な空間を演出していた。
「まずは、あたしがお相手いたします」
皮のコルセットとショーツにロングブーツの女性がベッドの上で譲二を手招きする。
「へっへっへっ、いいのかよぉ」
譲二は舌なめずりをすると、着ている物を脱ぎ始めた。
生命の危険を感じたほどの相手に、思わぬ接待を受けたのである。
これは譲二の世界の常識で考えるのならば、話はまとまったと思ってよいことだった。
ならば、接待として現れた女は抱かねばならない。
もちろんベッドの上にいる女性は、散々女遊びを繰り返してきた譲二の目から見て、容姿もプロポーションを十分満足できる相手であった。
譲二は女性の下着を剥ぎ取ると、その上に覆いかぶさり柔らかい膨らみを頬ぼり始めた。
女性の小さな唇から甘い嗚咽の声が漏れる。
譲二の手がつつつっと上半身を伝う乳房、腹触れるか触れないかの指先が、女性の性感帯を激しく擽る女性は切なげに嗚咽の声をあげる。
譲二は下腹部に到達した指を、割れ目の部分に這わせる。
既にぐっしょりと濡れているオマンコに指を沿えて、ゆっくりと指の先で肉芽を愛撫する。
「んあああっ、はやく入れてください」
譲二は漲る男根を秘裂に押し当てると、一気にオマンコの奥に突き刺した。
女性のオマンコは涎の様に愛液を滴らせて、譲二の男根を咥えこんだ。
しかし、暫く注挿を繰り返すうちに、譲二は妙な感覚に襲われた。
先程から、何か固いものが譲二の男根に当たるのだ。
いやそれどころか、そこはオマンコの感覚と言うより、かつて譲二が女の口の中に無理やり突っ込んだ時の感覚に近いのだ。
女の手が譲二の背中に回る。
開いた脚が腰を上から押さえつける。
それはセックスの時に女性が求める抱擁ではなかった。
その異様な力に譲二は恐怖を感じた。
譲二は女性の体の上で身動きが取れなくなっていたのだ。
先程から男根の幹に押し当てられる感覚…『歯』だ女性が譲二に優しく微笑みかけた。
「あたしは去勢器、優しく噛み砕いてあげます」
譲二はその瞬間まで、ノウブルは自在に人体改造を行う事を忘れていたのだ。
ノウブルの屋敷に住む女達が普通のはずがないのだ。
この女は、抱いた男を去勢する役目を持っていたのだ。
譲二の幹に押し当てられた『歯』に徐々に力が加わる。
譲二は女性の体の上で、必死の抵抗をする。
しかし鉄の拘束具で固定されたようにびくともしない。
背中に回された女性の手は、痛々しいほどに譲二の体に食い込んでいた。
譲二は呼吸すら満足にできなかった。
顔を真っ赤にして呻き声を上げる
「うううううううう、はなせバケモノ」
全身を大きく左右に振って戒めから抜け出そうと試みるが、全く身動きが取れない。
譲二の幹を甘噛みしていた『歯』はさらに力をこめ始める。
「うあああああああああ、やめろおおお」
呻き声が悲鳴に変わる。
女性は潤んだ瞳で下半身の感覚を楽しんでいた。