結局、外に出でたのは深夜の買出しのためだけだった。
体が小さいせいか、食欲があまり沸かない。
いつもの調子で買ってきた牛丼が食べきれないのでニールに手伝ってもらうが、
二人がかりで取り組んでも食べるのがやっとだった。
普通の量を用意していただけなのに。
取りあえず、デザートのカレーは次の日に残すことにする。
「気持ち悪い…なにあの量」
部屋の隅でぐったりとしながら、ニールが抗議の声を上げる。
「おかしいな、いつもならちょもらんま分ぐらいなら食べることが出来るんだが」
「何よちょもらんま分って?」
「音夢たんを愛する勇者が発明した食べ方だ」
「…味わって食べようよ」
これについてはもっともと言えたが、食玩を揃えるには不便でもある。
森羅万象チョコを一箱、水だけで完食できたことを考えれば寂しくもある。
人の変化には苦痛が伴う。
しかし、苦痛がなければ人は成長できないだろう。
世の中にはいらん苦労というのもあるから、一概には言えないが。
「うーんうーん、体が油っぽいよう」
ニールが苦しげな声を上げる。
「そうか? 普段と比べるとむしろ爽やかって感じなんだが」
「ぇと」
「この体って汚れないんじゃないのか?」
「そんなこともないと思うけど…体質ってのもあると思うし………」
しばらくニールは困ったような顔を見せていたが、ふと思いつく。
「………どんな基準で汚れてるって判断するの?」
ニールを招き寄せ、取りあえず基準としてPCのサイトを開く。
特になんでもない、毛穴パックのサイトである。
ttp://res9.7777.net/bbs/nyuru/
しばらくはPCの画面をニールは一緒に見ていたが。
傍から見ても。
彼女の背筋が凍りついていくのが分かった。
ニールは軋むような機械音を立ててこちらの肩を掴むと風呂場を指差す。
その後、少女が毎日風呂に入ることを強制させられたのは仕方のないことだと思ったり思わないでもなかったり。


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