「あの・・・高橋先輩・・・私、1年B組の日野琴美といいます。・・・あの・・・その・・・お手紙読んでいただけました?」
「あの手紙?・・・ああひょっとしてこれのこと?」
僕はバッグから今朝見つけた手紙を取り出した。
「ごめん、いろいろあってまだ読んでないんだ。ごめん。それで・・・用は何?」
僕が尋ねると日野さんは少しうつむきながらとりあえず手紙を読んで欲しいという。
僕は彼女に言われるがままその手紙を読む。その間彼女は終始うつむいたままだった。
その手紙は・・・恥ずかしいほどの想いがこめられたラブレターだった。
「あの・・・日野さんこれは・・・」
「はい、私の気持ちです。初めて見たときから好きでした」
「でも・・・今の僕は・・・女」
「それは関係ないです。男でも女でも高橋先輩は高橋先輩です」
そう力強く言うと彼女は僕の唇を奪う。・・・それは一瞬の出来事だった。
「ん・・・んぁ・・・んふ・・・・ん」
その初めてのキスの味はとろけそうで心地良かった。やっとの思いで日野さんを引き離すと僕は息も絶え絶えだった。
「はぁ・・・はぁ・・はぁ、日野さん、いきなり何するの。怒るよ」
「ごめんね先輩、私ね昔好きな人がいたの、でも私奥手だったから他の娘に盗られちゃった。だからもう自分の気持ちに我慢するのを止めたの」
少しの沈黙の後、彼女のキスは再び僕を攻め立てた。唇からうなじ、首筋へと舌を這わせていく。
そしてその指先は僕のワイシャツ、スラックスを器用に脱がしていった。
その間僕は身を捩じらせ彼女の攻めから逃れようとしたがもう一方の腕でそれは阻止された。
「あは、先輩てば・・・かわいい。おっぱいも綺麗だし。こんな男物の下着なんか穿いているのもったいないですよ。
こんど 一緒にランジェリーショップに行きましょ」
「ば・・・・僕は男だ!」
「ふーん、どの辺が男の子ですか。ここですか? それともここですか? それとも・・・ここですか?」
彼女は僕の胸からおなか、そして、秘部へとまるで羽のようなタッチで僕の身体を愛撫する。
そのたびに僕の身体には男の頃には考えられなかったような・・・まるで電気が走るような感覚が僕を襲った。
「ひぁ・・・くはぁ、ふぁああああああ・・・・・はぁ、はぁはぁ・・・日野・・さん・・・もう止めて」
「あはは、先輩ってばどこが男の子なんですか、立派に女の子じゃないですか。ここもほら・・・」
そういう彼女の指先は透明な粘液できらきらと輝いていた。
「それじゃあ、私も気持ちよくしてもらおうかな」
そう言うと彼女はすでに乱れていた衣服を脱ぎ捨て神社の軒下で横たわる僕に覆い被さった。
その時、彼女の内股も既に淫液が溢れ出していた。
くちゅ・・・くちゅ・・・
「ふふ・・・先輩・・・うれしい・・もうこんなになって・・・・」
「あはぁ・・・・っふ・・くはぁ・・・いや・・・・いやぁぁぁぁ」
彼女の唇が僕の体のあらゆる場所を這い回る。そのたびに僕の口から漏れる声は紛れも無く女のそれだった。
その声は彼女の声とも混じりあい淫靡なハーモニーを奏でる。そのハーモニーは僕の"男"にとってレクイエムにも思えて僕は少し怖かった。
「ん・・・あ・・・はぁ・・・・いいよ先輩・・・一緒に・・・」
「あふぁ・・・ふぁ・・・ひ!・・・やだ・・・・なに? なに? この感じ・・・ふぁあぁあああああああ・・・・」
「う・・・う・・ひどいよ、なんでこんなことするの、ねえ、ねえってば」
「ごめんなさい、でも、これが私の気持ち。先輩のこと想うと自分を抑えられないの。
許してもらえないかもしれないけど・・・もし・・・許してくれるならまた逢ってください。・・・さようなら」
「あ・・・ちょっと・・・日野さん・・」
僕の声は届かず彼女はそのまま走り去ってしまった。そして残されたのは静寂と呆然とする僕だけだった。
「あ・・・・腰に・・・力が・・・」
僕は立ち上がれるまで境内で休み・・・結局今日も早退した。
昼下がりの帰り道、彼女・・・日野琴美ちゃんのことを考えていた。
「琴美ちゃんか・・・かわいかったけど・・・・あああ、僕はどうすればいいんだ」
道の電柱に八つ当たりする。・・・けりを入れた右足がちょっと痛かった。