「あっはぁ・・・く・・・ひぁ・・ああああああ」
あの日以来私は草川のペットとして生きてきた。毎夜この醜い中年に体をまかせ、朝、男を見送る毎日。
その異常な日常が当たり前になり、いつしかその行為に屈辱よりも快感を感じていた。
男に初めて貫かれたとき私はまだ自分のことを"俺"と呼んでいた。その頃の私は男としての自我を必死につなぎとめようともがいていた。
草川はそんな私の自我を崩さんと毎夜屈辱的な行為を私に強要した。そんなある日運命の扉は開かれた。
その夜もまた草川は俺を貫いていた。景気付けに飲んだ酒も効いているのだろう草川の顔は紅潮していた。
草川は俺を抱え上げ脚を開かせると鏡の前で己のモノを俺の中へと沈めていった。
「ああ・・・っふ・・・くっ・・・あああ・・・」
「ふふふ・・・どうだね・・・よく見えるだろう・・・今君は間違いなく女なのだよ」
くちゅくちゅと淫猥な音をたて草川のモノが俺の身体に出入りしている。その姿はかつて俺自身が犯した女たちと重なり俺自身を縛りつけた。
「ほら、よそ見をするんじゃない!君が犯した女達が味わった屈辱・・・こんなものではないぞ」
「いや・・・いやだぁぁ・・・やめてくれぇーーー」
「ふっふっふ・・・あっはははははは・・・」
草川は高笑いを上げ俺を更に惨めな気分にさせた。
・・・・畜生・・・畜生・・・畜生・・・
奥歯をかみ締め呪いの言葉を飲み込むが飲みきれない感情が目からぽろり・・・ぽろり・・・とこぼれ落ちた。
草川はなおも腰を打ちつける、俺の身体は自分の意思に反し草川のモノを締め上げいやらしい涎を流し続けていた。
「おお・・・いいぞ・・・・私ももう・・・いくぞ」
「いや・・・やめろ・・・・いやだぁぁぁいやぁぁぁぁぁ」
身体が男の射精を察知し声をあげる、その声はあまりに女性的で自分自身を見失うような錯覚に陥った。
草川のモノが引き抜かれ納まりきれない白濁した粘液が溢れ出した。・・・悔しい・・・惨めだ・・・俺は身を縮め屈辱の涙を流し続ける。
「良かったぞ・・・お前は私の物だ・・・・これからも娘を奪った罪をその身で償ってもらう」
そう・・・俺は今や籠の中の小鳥だ、生きるも死ぬもこの男次第・・・・そしてこの部屋という籠から出ることもかなわない。
行為を終えシャワーを浴びる。シャワーの温かいお湯は身体についた汚れを洗い流していく。
だが身体にまとわりついたおぞましい感触が消えることは無かった。
シャワーを終え部屋に戻ると酒が回ったのか珍しく草川はベッドの上でいびきをかき眠っていた。
珍しいこともあるものだと思ったが次の瞬間別の考えが俺の思考を支配した。
「ひょっとして・・・・逃げれるのか?」
俺が監禁されているこの部屋のドアは当然だが内側からも鍵を使わなければ開くことは出来ない。
そして今・・・・俺が求めてやまなかった鍵は目の前にある。
草川を起こさないようそっと鍵に近づく、後3メートル・・・・2メートル・・・1メートル・・・そして鍵は俺の手の中に収まった。
鍵を取る時と同じように草川を起こさぬようにそっとその場を離れた。後ろ手で鍵を開けそっとドアを開け部屋を出た。
俺は部屋に鍵をかけ、リビングにあったスラックスとワイシャツを掴み走った・・・
玄関で履いた靴は女の身体の俺には大きすぎたがそんなことはどうでも良いことだった。
雨の中を俺は走った・・・走り続けた。
そしてどれだけ走っただろう俺は郊外の公園で足をとめた。既に身体は雨に濡れ、肩で息をしていたが身体には力が溢れ俺は叫ばずにはいられなかった。
「うおおおおおおおおおおおおおお」
叫び声にふさわしくない甲高い女の声が静かな公園に響き渡る。・・・・俺は自由だ・・・・5年ぶりに得た自由を俺はかみ締めた。